ロシアはまた、長距離電波航法に似た「チャイカ」と呼ばれる地文航法システムに軸足を移す可能性もある。加えて、衛星を使用しない戦闘のための、あまり知られていない「スコーピオ」と呼ばれる、おそらく移動式の軍事航法システムも有している。ロシアの航空機は最近、欧州上空を飛行していないため、欧州でのGPSの混乱はロシアにとって懸念材料ではないことも忘れてはならない。
だが、欧州を飛ぶ西側諸国の旅客機や自家用機は、なかには欧州の全地球測位衛星システム「ガリレオ」をナビに使うものもあるが、ほとんどがGPSに頼っている。中東で発生した事案と同様、スプーフィングや電波妨害は人命や航空機を危険にさらす。だが、これまでのところロシアは何の影響も被っていない。
ゴワードは、意図的なGPS妨害は国際法と国連の国際電気通信連合(ITU)の加盟国が合意している規則に違反していると指摘。「グレーゾーン」の戦術かもしれないが、GPSの電波妨害は戦争に等しいとゴワードは主張する。
ロシアのGPSスプーフィングへの対抗措置として、衛星の新しい周波数割り当てを拒否することが考えられるとゴワードは提案する。新しい周波数はITUによって付与されたものであり、割り当てないことによりロシアは経済的、そして戦略的に大きな影響を受ける可能性がある。
ここ1カ月ほどの間に、北欧やバルト海沿岸諸国を標的としたロシアのGPSの電波妨害やスプーフィングが6件以上発生しており、そうした対応措置を取る時だ。
(forbes.com 原文)