欧州

2024.02.06 11:15

欧州でGPS妨害が多発、航空機の運航に影響 発信源はロシアか

GPSの電波妨害の発信源が広範囲にわたっていること、そして発信源が移動可能であることから、妨害の電波はロシア海軍の艦船から発信されている可能性が高い。ゴワードは、電波妨害の移動について注意喚起するロシア語のメディアなどの報道があると指摘した。また、ウクライナのメディアは、ロシア海軍のバルチック艦隊の部隊が昨年12月中旬以降、ロシアの飛び地であるカリーニングラード地域で電子戦演習を行っていると報じたという。

ロシアがクリスマス前後にGPSのスプーフィングや電波妨害を行う動機は単なる嫌がらせ、あるいはスウェーデンとフィンランドの北大西洋条約機構(NATO)加盟などの問題に関連している可能性がある。最近ポーランド北部に配備された米国のイージス艦ミサイル防衛システムも電波妨害の標的になる可能性がある。これは主にレーダーを使って迎撃している同システムにとって問題となる。

興味深いことに、GPSの電波妨害やスプーフィングはロシア国内でも起こっている。「モスクワやサンクトペテルブルク、ウクライナのドンバス地方の北東部では、あらゆる電波妨害が行われている」とゴワードは断言。「ウクライナのドローン(無人機)からの防衛をロシアが懸念していることと、ほぼ確実に関係がある」

GPSスプーフィングは、ロシアがウクライナと戦争を始めるかなり前にロシアでみられていた。ゴワードは「ロシア大統領府(クレムリン)は朝食にGPSを食べる」と皮肉った2016年のモスクワ・タイムズの記事に言及した。電波妨害は、UberなどのGPSを活用した地上サービスだけでなく、付近の脅威となるドローンにも影響を及ぼした。ゴワードによると、ロシアは黒海のリゾート地にある別荘で休暇を過ごす高官らからドローンを遠ざけるためにGPSスプーフィングを展開しているという。

ロシアは自国の全地球測位衛星システム「GLONASS」をずいぶん前に開発しているため、自国領土内でのGPSスプーフィングの影響は少ないかもしれない。GLONASS(または中国版GPSの「北斗」)に影響を与えることなくGPSの電波妨害をしたり、スプーフィングしたりすることは可能だが、難しいことだとゴワードは指摘する。
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翻訳=溝口慈子

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