NFTのマーケティング活用
ナイキ以外の企業も、ブロックチェーンに基づくユニークなトークンをマーケティングの武器として活用する方法を見つけつつある。例えば、クレジットカード大手のMastercardは、暗号資産のネオバンクのHiと提携し、NFTユーザーがカードに自身が所有するNFTを表示できるようにした。「クレジットカードのデザインは、そのカードの所有者のキャラクターを反映するものです」と同社フィンテック事業の責任者であるクリスチャン・ラウは説明した。
また、既存のマーケティング戦略にブロックチェーンの要素を取り入れた企業もある。コカ・コーラは昨年6月、同社の象徴的な赤と黒のボトルの中に、ムンクの『叫び』やゴッホの『アルルの寝室』などの有名な絵画のアニメバージョンが浮かぶ広告キャンペーンにNFTを追加した。8月に同社はコインベースのBaseブロックチェーン上で、有名な絵画とボトルを組み合わせたNFTアートを発行し、8万トークンの販売から54万3000ドルの売上を上げた。
このマーケティング戦術は、希少なコカ・コーラのボトルを4000ドルもの高値で取引するようなスーパーファンに新たな楽しみを提供することを狙うもので、同社のNFTは、セールの開始当初には最低25ドル相当のイーサで購入可能なチャンスが用意されていた。
さらに、NFTを利用してロイヤリティプログラムに新たな流れを起こそうとしている企業もある。スターバックスは、2022年12月にロイヤリティプログラム「スターバックスオデッセイ」のテスト版を開始し、一部のユーザー向けにNFTのリワード(報酬)を生み出すオンラインゲームやクエストへのアクセスを提供し始めた。このNFTは、スターバックスのポイントや、スペシャルドリンクへのアクセス、カクテルのレシピなどの保有者限定のプログラムを提供するものだ。