バイデン大統領が2022年3月に署名した大統領で、その発行に向けた課題を検証するよう命じたデジタルドルは、新たな論争の火種になりそうな雲行きだ。
トランプは、以前は反ビットコインの立場をとっていたものの、自身のNFTコレクションをビットコインを用いたネットワークに拡大しており、再び米国大統領になった場合は、暗号資産に有利な政策を実施するという見方が浮上している。
先日のニューハンプシャー州での選挙演説でトランプは「私は、米国政府の専制政治から米国人を守ることを約束する。私はCBDCの創設を決して許さない」と語った。
米連邦準備制度理事会(FRB)は、他の国の中央銀行や政府と並んでCBDCの発行を検討中だが、議会の承認がなければそれを発行しないと繰り返し述べている。
「デジタルドルは私たちの連邦政府に、あなたのお金に対する絶対的な支配権を与えることになる。彼らはあなたが知らないうちに、あなたのお金を奪うことができるのだ。これは自由に対する脅威であり、私は米国への導入を阻止する」とトランプは述べている。
先日、共和党の候補指名争いから撤退し、トランプ支持を表明した投資家のビベック・ラマスワミは、FOXニュースの番組で「デジタルドルの危険性についてトランプ前大統領と話した」と語った。
トランプは、2019年にビットコインや暗号資産の「ファンではない」と述べ、フェイスブックの独自のデジタル通貨の発行計画を批判する投稿をX(旧ツイッター)で行った。「米国には本物の通貨が1つしかなく、それはかつてないほど強く、信頼できるものだ。その通貨はアメリカ合衆国ドルと呼ばれている」と彼は述べていた。
トランプはまた、21年にビットコインに関して「詐欺のようだ」と発言していた。
NFTの試みを拡大するトランプ
しかし、それ以来、彼は22年12月に「デジタルトレーディングカード」と称するNFTコレクションを発行するなど、暗号資産分野への歩み寄りを見せている。トランプのNFTは、以前はポリゴンのブロックチェーンで発行され、決済にはイーサリアムが使用されていたが、1月19日には、NFTに似たビットコインブロックチェーン上のOrdinals(オーディナルズ)のプラットフォームにそれを拡大した。トランプのNFTベンチャーを運営する企業は、Xへの投稿で、12月にポリゴンのブロックチェーンで発行された、1個99ドルの「マグショット版」NFT100個を購入したコレクターはオーディナルズ形式のユニークなカードも受け取れると発表した。
一方、ビットコインと暗号資産を厳しい監視下に置くバイデン政権と規制当局は、暗号資産業界を敵視し「イノベーションを阻害している」と非難されている。
「ここで重要なのは、もし米国政府が冷静なスタンスでこのテクノロジーを研究していたなら、彼らは新たなイノベーションから逃げずに、その可能性を追求していただろうということだ」と、トランプ前政権の短命に終わった広報部長として知られ、現在はヘッジファンドのマネージャーを務めるアンソニー・スカラムーチは、ダボスで開催された世界経済フォーラムでヤフーファイナンスの取材で述べていた。
(forbes.com 原文)