暗号資産

2024.01.29 09:00

熱狂的ブーム終了のNFT、新たな活路は「企業のマーケティング」

ルフトハンザドイツ航空もロイヤリティプログラムで同様のアプローチを取っており、特定の旅行や目的地の記念NFTをユーザーに配信し、乗客のデジタルウォレットのスタンプのような位置づけで使用している。

この種のプログラムを導入する企業は、厳密にはブロックチェーンに頼る必要はないが、この仕組みを利用することでプロセスを安価にすることが可能で、顧客にはその企業が最新のテクノロジーに詳しいという印象を与えられる。「企業は、この種のテクノロジーの開発を外部に任せ、ロイヤリティプログラムに導入できるのです」とコンサルティング会社アーンスト・アンド・ヤング(EY)のグローバル主任のポール・ブロディは指摘した。

「金融資産」の要素を排除したNFT

NFTをマーケティングに活用する場合に、企業が直面する可能性のある最大のハードルは、暗号資産の性質に起因するものと考えられる。NFTを利用するためには、専用のウォレットを用意したり、イーサのようなデジタル通貨で取引したりする必要があり、不慣れなユーザーには大きな手間となる。

RTFKTのヴァシレフがNFTという呼び方を避ける理由の1つはここにある。また、彼らが暗号資産を用いずに、従来のクレジットカード決済でNFTを購入するオプションを追加したのもそのためだ。「私たちは、このやり方が新たな顧客を取り込むための有効な手段だと考えています」と、ヴァシレフは語った。

一方、マーケティングツールとしてのNFTの利用は、まだ初期段階にあり、OpenSeaのようなかつては熱狂的な人気を誇ったマーケットプレイスでの取引が低迷を続ける中「二次市場でのトレーディンについては誰も話題にしていないのです」とEYのブロディは指摘した。

「私たちは、NFTを譲渡可能な金融資産としてではなく、記念品や公的なトロフィーとして利用する未来に向かっているのです」と彼は語った。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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