米国勢調査局の最新の統計によると、昨年1~11月の11カ月間の米国の対ロシア輸出入は、2021年同時期との比較でそれぞれ91%、85%落ち込んだ。貿易総額は累計48億1000万ドル(約7130億円)で、86%減少した。
国勢調査局が旧ソ連の一部としてのロシアとの貿易に関する報告を中止した最初の年である1993年の対露貿易総額は47億1000万ドル(約7000億円)で、昨年よりわずかに少ない規模だった。だが、翌1994年には58億2000万ドル(約8620億円)を突破。昨年の通年の貿易額は来月初旬に発表されるが、1994年の規模を上回ることはないものとみられる。
なぜ貿易が激減しているのか
米国の対露貿易の縮小は、ドナルド・トランプ前大統領時代から兆候が現れていたが、ジョー・バイデン現大統領政権下で加速している。この理由はいうまでもなく、米国と主に欧州諸国の連合による、ロシアのウクライナ侵攻を阻止するための制裁の影響だ。だが、こうした取り組みは現在、行き詰まっている。米議会の中には取り組みを継続することに消極的で、対ウクライナ支援をイスラム組織ハマスと戦うイスラエルへの支援や、米国とメキシコの国境沿いの不法移民の流入を食い止めるための予算と組み合わせたいと考える議員がいるためだ。ロシアが1922年にウクライナ、ベラルーシ、ザカフカス(現在のジョージア、アゼルバイジャン、アルメニア)と結成したソ連は、最終的にバルト三国(ラトビア、エストニア、リトアニア)、モルドバ、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタンも加えることとなった。ソ連はさらに「鉄のカーテン」の裏側に、ポーランド、ハンガリー、ブルガリア、ルーマニア、アルバニア、旧東ドイツ、旧チェコスロバキア、旧ユーゴスラビアを手中に収めていた。
かつての同盟国が現在はNATOに
旧ワルシャワ条約機構加盟国(訳注:上記、東欧8カ国のうち旧ユーゴスラビア以外が同機構に加盟していた)の多くは、現在北大西洋条約機構(NATO)に加盟している。NATOは第二次世界大戦の余波の中、ソ連の指導者ヨシフ・スターリンが西欧を攻撃しようとする動きを阻止するために創設された。NATOには現在、東欧からハンガリー、ポーランド、ブルガリア、チェコ、モンテネグロ、北マケドニア、エストニア、ラトビア、リトアニア、ルーマニア、スロバキア、スロベニア、アルバニア、クロアチアが加盟している。これらはすべて、かつてソ連の陣営に含まれていた国々だ。
米国勢調査局の統計によれば、ロシアは現在、ポーランド、ハンガリー、チェコ、スロバキア、ルーマニアより対米貿易額が小さい。実際、過去10年間で米国への輸出額が最も成長した国はスロバキアで、ハンガリーとポーランドも上位10カ国に名を連ねている。米国からの輸入額で最も成長したのはポーランドで、チェコも上位10カ国に入っている。