宇宙

2024.01.20

太陽系外の恒星と惑星を探査する、宇宙望遠鏡PLATOの狙い

Getty Images

天空にある太陽は、ごく一般的なG型主系列星であり、地球も属している「天の川銀河(銀河系)」に存在する、数十億個の太陽型恒星のひとつにすぎないと、我々は考えている。

だが、天文学者が、私たちの太陽によく似た恒星について、星震学(Asteroseismology:恒星の振動からその内部構造を分析する学問)に基づいて比較することが可能になったのは、ここ数十年にすぎない。星震学とは、私たちの太陽、ひいては、この銀河系内に存在する数十億の恒星系を理解する上でカギとなる、恒星の振動を研究する学問だ。

欧州宇宙機関(ESA)が2026年に打ち上げを計画している宇宙望遠鏡「PLATO(プラトー)」ミッションは、2020年代のうちに、太陽に似たタイプの恒星を数十万個、観測する予定だ。

「PLAnetary Transits and Oscillations of stars(惑星通過および恒星振動)」の頭文字をとって名付けられたPLATOミッションは、地球に似た太陽系外惑星の探索を目標としているが、同時に、そうした惑星を持つ恒星についても、理論天文学者が理解を深めるのに貢献すると期待されている(PLATOは、恒星の明るさの経時変化を計測する機能を備えている)。

筆者は先日、イタリアのシチリア島にあるカターニア天体物理天文台を訪ねた折に、PLATOがもたらすと見られるデータを期待する2人の研究者と話をする機会を得た。筆者は2人に、太陽型恒星に関する物理法則を理解することがなぜ重要なのか、との疑問を投げかけた。

カターニア天体物理天文台の研究員で、PLATO科学チームのメンバーでもあるエンリコ・コルサーロは、筆者の問いかけに対し、恒星は私たちの銀河系を構成する基本要素だと説明してくれた。私たちの銀河系をより深く理解するためには、まず、太陽と同じような外観を持つ恒星について知る必要があるというのだ。そして、太陽系をより深く理解するためには、惑星系というものを理解する必要がある、とコルサーロは言う。

銀河系に関する新たな知見を提供するPLATOに高まる期待

一方、カターニア天体物理天文台に所属する博士課程修了の研究者で、こちらもPLATO科学者チームのメンバーに名を連ねるシルヴァン・ブレトンは、PLATOは何よりも、太陽型恒星内部の動的プロセスの理解を飛躍的に向上させるだろうと語ってくれた。具体的には、太陽型恒星、特に惑星をもつ恒星の質量、半径、年齢を、かなり正確に突き止めることができるはずだという。

ESAによると、PLATOに搭載されるデジタルカメラは、宇宙空間に送られるものとしては過去最大規模だ。単一の人工衛星プラットフォームに26台のデジタルカメラがマウントされると、ESAは説明している。

ミッションの期間は4年と定められているが、さらに4年延長されて8年となる可能性が高い。そのうち当初の4年間に、PLATOは全天を観測し、2232平方度(1平方度=球面を一辺 1 度の正方形で囲んだ広さ)という、非常に広大な合成視野が得られる見込みだ。
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翻訳=長谷 睦/ガリレオ

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