そして、自分がいかにナイーブ(世間知らず)であったかを実感したのは、後の雑談で、実は日本に遊びに来て買い物をする中国人を意識していることを耳にした時です。実際、ウォルポールのHPには来日目的について次のような記述があります。
「マッキンゼーによれば、日本のラグジュアリー市場は2025年まで約4%の成長を遂げるという。この堅調な成長は、英国製製品の品質、歴史、スタイルに特別な魅力を感じる国内顧客と、日本が常に人気の旅行先である中国人旅行客の2つからもたらされる。中国の消費者が再び海外旅行をするようになるにつれ、日本が選ばれる海外旅行先として32%でトップとなり、次いでヨーロッパ(21%)、韓国(17%)、東南アジア(16%)となっている」
上品な表現でコーティングされておりますが、つまり、日本市場の顧客の半分を、日本でラグジュアリーショッピングをしていく中国人旅行客と想定しているのです。こうして数字とともに示されると、ウォルポールの目的の半分は、そのための日本調査というのにも納得もします。
日本の小売業者の丁寧な英国製品の扱いや、日本人の英国文化理解に対する感謝も示され、感じのよい来訪であったことは違いないのですが、ラグジュアリービジネスの本音と建前、ガツンと学ぶ経験となりました。
ニセコの華麗なるポップアップも、土地の性格上、外国人富裕層を主なターゲットとしていることが想定されます。いずれにせよ利益の大半は資本家のもとに入ります。日本は今や、外国人富裕層が安心して買い物をするためのプラットフォームとして海外ラグジュアリー勢に認知されるようになっているのだな、とふと感じた次第です。
さて安西さん、日本がこのように海外資本のプラットフォーム化していく状況について、コメントをいただければ幸いです。