経営・戦略

2024.01.18 08:30

ニセコにルイ・ヴィトン。グローバル資本と日本の「さまざまな現実」

Photo by Carl Court/Getty Images

日本は観光立国を掲げ、旅行単価の高い海外富裕層に来てもらうための「ラグジュアリー(最高級カテゴリーの)」ホテルをどんどん建設しようという機運を高めています。妙高や斑尾にもニセコ同様のホテルが続々と建設されることになるでしょう。
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その傾向に対し、くぎを刺す見方もあります。たとえば、雑誌「自遊人」の創業者であり、「里山十帖」や「箱根本箱」などの地域密着型の宿泊施設を運営している岩佐十良氏は、NewsPicksのインタビューに答えてこのように語っています。

「大資本、特に海外資本は還元先が投資家や経営陣ばかりです。少し範囲が広くても、支配人やシェフ、ごく一部のスタッフにリターンが集中してしまっています。それは、地域資源の食い逃げだと思いますよ。荒らしているだけ。地域に寄り添って、魅力を伝えるふりをしながら、投資家に還元することを目的にしている宿泊施設やレストランが非常に多い。

(中略)僕はグローバルな資本、お金の流れまで否定するつもりはありませんが、あまりに自分たちと投資家のことしか考えていないのはいかがなものかと。正直、最近はそうしたビジネスに猛烈な拒絶反応を覚えています」
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ホテル建設ラッシュが日本に与える影響にしても、岩佐さんは「廃墟みたいな施設がいっぱいできてしまう可能性もある」と指摘します。「訪日観光客の増加と地方創生バブルに乗ってしまって、本当に地域に残すことまで考えているのか、疑問に思う開発がたくさんあります」と。

これらの指摘と向き合うと、グローバル資本による「ラグジュアリー(最高級カテゴリーの)」開発で大きな利益を手にするのは株主ばかりで、こうした開発は日本をプラットフォームとしたグローバル資本の「プレイ」のようにも見えてきます。

海外資本と日本については、別の角度から、生々しいリアリティを突き付けられる経験をしたこともあります。

2023年10月、イギリスのラグジュアリー統括組織、ウォルポールが新旧イギリスブランドの代表を引き連れて来日しました。日本がイギリスの高級ブランドにとって最も重要なアジア市場の一つであるという前提のもと、駐日英国大使館ビジネス・通商部の主催で日本市場に関する研究会が行われました。
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文=中野香織(前半)、安西洋之(後半)

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