ウクライナの軍事サイトMilitarnyiは、フランスのオープンソース・インテリジェンス(OSINT)のARIの分析を丹念に調べ、驚くべき結論に達した。それはロシアの侵略を擁護する人々にとって衝撃的なものだ。
「ARIによると、生産や改修のペースはロシアが宣伝しているよりかなり遅い」とMilitarnyiは報告した。総合的な評価によると、ロシアの産業界が生産している戦車は年間わずか390両。つまり、2022〜2023年に生産・修復したのはわずか780両である可能性がある。
それが本当なら、ロシア軍が保有する戦車はたったの1180両となる。おそらく、ウクライナ軍が現在保有している戦車よりわずかに多い程度だ。
ロシアにとってさらに悪いことに、最近ロシア軍は自殺も同然の正面攻撃で多くの戦車を失っている。その数は、最も楽観的な生産ペースで補てんできる数をはるかに上回っている。つまり、ロシア軍は戦車を使い果たす可能性がある。
ロシアの目標が機甲部隊の突破であるなら、まず戦車部隊を再建する必要がある。そして代替戦車を今以上に生産しなければ、それはまさに戦車の損失を抑制することを意味する。そうした事態になれば「長期にわたる戦争の停滞」を招くとMilitarnyiは説明した。
だが、ロシアは戦争を停滞させてはいない。それどころか、約1000kmにわたる戦線のいくつかの地点で雑な正面攻撃を始めた。ロシア軍にとって意味のある前進につながったのは、東部バフムートの北側への攻撃だけだ。そして全ての攻撃で、ロシアの野戦軍は許容を超える戦車を失った。
ロシアがウクライナに仕掛けた戦争が3年目に突入しようとしている今、そうした事態の意味するところは明らかだ。長い消耗戦でウクライナとウクライナを支援する国々より長く持ち堪えようとするロシアの脅威は、中身を伴わないものになるかもしれない。
(forbes.com 原文)