3. 戦略的な納税計画
「納税計画は、戦術的というより場当たり的なものになりがちだ。税について考えるのは、納付期限が間近に迫っている時期だけ、という経営者も多い。しかし、1年を通じた戦略的な納税計画があれば、大幅な節税につなげることもできる」と、テイラーはアドバイスする。「税法の微妙なニュアンスについて学ぶ(あるいは、そうした領域を理解している者を雇う)ことで、税控除の恩恵を受けることが可能になり、ビジネスの構造や取引に関して、情報を得た上で決断を下すことができる。税の専門家に相談すれば、コンプライアンス面でプラスになるだけでなく、税額を引き下げるための収益の繰り延べや、適切な会計処理方法の選択のほか、事業目標に沿いつつ節税効果のある投資の実施などのメリットが得られる」
4. 定期的な財務健全性評価の実施
「自らの事業の財務に、まったく目を向けない経営者も多い。定期的な財務健全性の評価は不可欠だが、軽視されがちだ。健全性評価とは、単に損益計算書に目を通すだけではなく、さまざまな財務指標やベンチマークを分析し、事業の実績を評価することだ」と、テイラーは述べる。「利益率や流動比率、負債資本倍率(DEレシオ)などの重要指標に目配りすることで、財務健全性の状況をより明確に把握できるようになり、注意が必要な分野の特定に役立つ。問題の芽を摘み取るこうしたアプローチによって、大問題に発展する前に調整を行うことが可能になる」
5. 事業承継および出口戦略の策定
最後に、戦略的事業計画を策定する際には、未来について考えることが肝要だ。テイラーはこう語る。「多くの経営者は、『今』に気を取られており、未来に備えて計画することを怠りがちだ。事業承継と出口戦略の策定は、包括的な財務戦略に不可欠な要素だ。世襲、売却、廃業のうち、どの道を選ぶとしても、前もって計画を用意しておけば、スムーズな事業承継と企業価値の最大化につながる」。「このプロセスでは、財務計画だけでなく、法的側面や、関わる者の感情面も考慮しなければならない。要は、経営者が持つ個人的・事業的な目標と合致した、未来に向けたロードマップを作成するということだ」
事業運営においては、時に、日々発生する課題に対処するだけで手一杯になってしまうかもしれない。だが、経営者は上に挙げた5つの基本的な財務戦略を見失ってはならない。これらの領域に優先的に取り組むことで、経営者は、より安定した、変化に強く、収益性の高い企業を構築できるようになる。そうした企業は、試練に耐える準備があるとともに、常に進化を続けるビジネス環境の中で生じるチャンスを最大限に生かせるはずだ。
(forbes.com 原文)