経営者が見過ごしがち 5つの重要な「財務」戦略

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常に変化し続けるビジネスの世界では、的確な財務戦略が、継続的な成功を支えるバックボーンとなる。金融情報サイト「インベストペディア(Investopedia)」の記事では、事業が暗礁に乗り上げる理由として、「財務に関するハードルをクリアできなかったこと」がトップに挙げられている。

財務戦略は、事業の長期的な安定性と成長に大きな影響を与える重要な要素だが、日々の事業活動やマーケティング施策、顧客対応などに忙殺される経営者からは見過ごされがちな領域でもある。

金融サービス企業Intuit(インテュイット)の調査では、経営者のうち、自身が財務に関するリテラシーを持ち合わせていると回答した者の割合はわずか46%だった。このような財務リテラシーの欠如は、過剰な債務や支出超過、成長機会の逸失など、致命傷となるようなミスを経営者が犯すリスクにつながる。

Taylor Financial(テイラー・ファイナンシャル)の創業者でもある金融専門家アダム・テイラーは、「経営者にとって財務リテラシーは、『必要に応じて持つべき知識』などではない。(起業から)『5年の壁』を突破するためには絶対に不可欠な知識だ」と述べる。「財務に関するニーズの内容は起業家によって異なるが、収益を最大化し、企業を財務面で継続可能な状態に置くために、すべての経営者に共通する戦略はいくつかある」

経営者が必ず押さえておくべき、財務に関する5つの戦略について以下に説明しよう。

1. 積極的なキャッシュフロー管理

U.S. Bank(U.S.バンク)のリポートによれば、破綻した企業の実に82%が、キャッシュフローに問題を抱えていたという。

「キャッシュフローはあらゆる事業の生命線だが、その積極的な管理が脇に追いやられているケースは、愕然とするほど多い」とテイラーは述べる。「効果的なキャッシュフロー管理は、資金の出入りをただ監視するだけでは不十分であり、戦略的な時機の見定めやリソースの配分が不可欠だ」

「企業はキャッシュフロー管理に関して、問題が起きる前に対処する予防的なアプローチを取る必要がある。キャッシュフロー予測の導入も、そうした手段のひとつだ。このツールがあれば、資金が不足するリスクを予見し、支出を遅らせたり、収入を早めたりすることに関して、経営者がより賢明な判断をする手助けになる。さらに、緊急時に備えて、ある程度の資金を手元に置いておけば、これが厳しい時期を乗り切る緩衝材となり、高コストの資金調達オプションに頼る必要がなくなる」

2. 収益源の多様化

「どんな事業においても、単一あるいは限られた数の収益源に依存することはリスクを伴う」とテイラーは指摘する。「変化に強い財務体質の確立には、多角化が鍵となる。複数の収益の道を探り、発展させていくことで、企業は、市場の急激な変動や消費者行動の変化から受ける影響を緩和させることができる」

「具体的には、新製品の立ち上げ、新たな市場への進出、あるいは、デジタルプラットフォームを活用してより広範なオーディエンスにリーチするなど、あらゆる方法が考えられる」
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翻訳=長谷 睦/ガリレオ

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