「お返し」を重んじる日本人に。お金の代わりに行動を支払うフードパントリー


同団体への食品提供企業・団体は累計で2400社、提携するフードバンク、フードパントリ―団体や福祉施設は400箇所を超える。その多様なつながりを支えるコアになっているのが、コミュニケーション指針だ。

直近5年間、国際基督教大学でサービスラーニングに関わっていた横手さん。その経験をもとに大切にしているのは、WIN‐WINの関係性を築くことだという。

「与える人、与えられる人という関係性は続かない。パートナーであり、お互いがWIN‐WINである関係にこそ発展性があります。そこで、marugohanでは、利用者はもちろんステークホルダーのニーズも掘り下げています。何が必要か、どういうものが欲しいか、いつ欲しいか、どこで欲しいかなどを、ヒアリングやアンケートで把握するのです」
 
これまでのフードパントリーは賞味期限の長い加工食品が主だったが、marugohanでは利用者のニーズをもとに冷凍食品や青果まで取り扱っている。

2022年、全国平均の2倍を超す貧困率が大きな課題となる沖縄で実施したアンケートでは、同団体が提供している食品のうち各家庭が通常購入している食品は52%のみであるとの結果が出た。このアンケートの結果をもとに、食品の調達について新たな施策を検討しているところであるという。

どこにいる誰にでもできることはある

昨今のフードバンクの増加について、「フードセーフティネットの構築という観点ではポジティブに捉えている」としながらも、横手さんが懸念するのは、フードバンクの定義付けがない中での急拡大であるということだ。

現状、フードバンクには明確な定義付けがないために、誰もがすぐにフードバンクを名乗れる。フードバンクとは本来、食品の受け入れから提供までを行なう活動を指すが、需要の高まりに対して、提供のみを行う団体にもフードバンクを名乗るところがあるという。また、提供する食品が十分に確保できない状況でのフードバンク運営は持続可能ではない。

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文=佐藤祥子

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