「お返し」を重んじる日本人に。お金の代わりに行動を支払うフードパントリー

新しいスタイルのフードパントリー「marugohan」

いつものようにスーパーで買い物をしたら、合計金額に驚いてしまった。

物価高騰の影響で、支援を必要とする生活困窮者や食糧支援をする団体に食糧を提供するフードバンクは252カ所*1、子ども食堂は9131カ所 *2と、急増している。この状況に、これからの暮らしになんとも言えない不安を抱いている人は多いだろう。筆者もその1人だ。

現在、日本ではおよそ6人に1人*3が月に10万円以下で生活し、そのうち安全で十分な栄養がある食事を得られない人は、約200万人いるとされる。

社会への責任として、企業・団体が取り組まなければいけない課題は数えきれないほどある。しかし、そもそも自らを満たすことなくして、他者を救うことなどできないのではないだろうか。食という人間の根幹にある生命活動を支えることは、何より優先して取り組むべきことに感じる。

今回は、そんな考えから、日本にフードバンクを広めたセカンドハーベスト・ジャパンが運営する新しいスタイルのフードパントリー「marugohan(まるごはん)」を訪れ、フードセーフティネットの未来を聞いた。

*1令和5年9月30日時点で農林水産省へ掲載希望のあったフードバンク活動数
*2認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ「こども食堂全国箇所数調査」2023年度速報値
*3厚生労働省、OECDまた独自調査による

パンデミック下で1日300人が訪れる

一般社団法人全国フードバンク推進協議会によると、フードバンクとは、安全に食べられるのに包装の破損や過剰在庫、印字ミスなどの理由で、流通に出すことができない食品を企業などから寄贈してもらい、必要としている施設や団体、困窮世帯に無償で提供する活動のこと。

セカンドハーベスト・ジャパンは、2000年に炊き出しでの連帯活動からはじまり、法人化を経て、創立24年目を迎える。2004年からフードバンク活動を始め、2019年にはコミュニティにおける個人への食料支援の新たな取り組みとしてフードパントリー「marugohan」をスタートした。

オープン直前、ボランティアスタッフによってスピーディーに食品が並べられていく。入り口では利用者がオープンを待っている。
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文=佐藤祥子

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