「お返し」を重んじる日本人に。お金の代わりに行動を支払うフードパントリー


店舗運営は団体スタッフに加え、一日平均10名前後のボランティアによって支えられているが、ボランティア募集枠は開始と同時にあっという間に埋まる。社会貢献したいというより、単純に楽しいから来るという人が多いそうだ。楽しい、という気持ちで活動するスタッフの雰囲気が、利用者の“支援されている”という抵抗感も薄めてくれているようだ。

「スーパーマーケット型のパントリーにして以来、利用者とスタッフ、さらに利用者同士でのコミュニケーションが活発になり、誘い合わせて訪れる人も増えました。貧困の背景には、孤独や不安があります。利用者の方々はmarugohanに訪れることで、食品以外にたくさんのエネルギーを持ち帰ってくれています」
 

「買ってあげられなかったお菓子に子どもたちは大喜びです」「節約してなんとか過ごす中でいただいた食品にとても助かっています」利用者からは多くのメッセージが寄せられる。

与える人、与えられる人という関係性は続かない

「中長期戦略の3つの軸のうち、最も重要なのはコミュニティだと思っています。コミュニティがあってこそのソーシャルインパクト、コミュニティがあってこそのサステナビリティなので、まずはmarugohanで基盤となる人と人とのつながりを構築していきます」

そう語るのはセカンドハーベスト・ジャパン横手仁美CEO。民間企業やNPO、高等教育機関などでの経験を経て、2023年7月に創設者であるマクジルトン・チャールズさんから同団体を受け継いだばかりだ。

陳列を終えたばかりのmarugohanに立つ横手仁美さん


横手さんによると、今は第二創業期。レガシーを持ちながらもどんどん挑戦を続けていくため、何を続け、何を変えるべきかを見定めていく必要がある。

「そのためにはコミュニティ同士がつながっていくことが大切です。フードバンク同士はもちろん、民と民、民と官というすべてのステークホルダーをつなげたい。どうやったらフードセーフティネットの構築を推進していくことができるのかを俯瞰して見ないと、やるべきことを見失ってしまいます。就任して半年、まずはできることから掘り下げていっている段階です」

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文=佐藤祥子

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