人類の影響
月の人新世の考え方は、人類が月におよぼす影響を浮き彫りにし、月は不変の環境だとする誤った通念を打破すると、論文の執筆者らは考えている。探査車や着陸機の影響は今や、隕石衝突や地質学的現象よりも重大だと、論文の執筆者らは主張している。2022年3月4日、使用済みのロケットの一部が月面に衝突し、直径約29mのクレーターができた。11月に発表された論文によると、これは中国のロケットの残骸だという。
月のクレーターの大半は、約41億~38億年前の後期重爆撃期に形成された。「月に現在起きていることを『新爆撃期』と呼んでいる。この場合はまさに人類が原因の衝突であることを特徴とする」と話すゴーマンは、これによって形成されるクレーターを「文化的クレーター」と呼んでいる。
「月に関して忘れてはならないのは、地球にあるような、ダメージから回復可能な生きた生態環境は存在しないことだ。つまり、人類の活動によって生じる変化の多くは、元に戻らないわけだ」と、ゴーマンは説明した。惑星科学者らは、月で水の循環がどのように機能しているかを理解し始めたばかりだと、ゴーマンは付け加えた。