隊員の手紙によると、クリンキ周辺では、ウクライナ軍がロシア軍よりも頻繁かつ正確に砲撃を行っている。「砲弾は不足していないのだろう」。ウクライナ軍のクラスター弾は特に危険で、「われわれの部隊がたまに歩くところ」に降り注ぐのだという。
ウクライナ軍の自爆型ドローンは四六時中、いたるところを飛行している。「カミカゼドローンは巨大な破壊区域を作り出す」と隊員。ドローンの大群が飛ぶ中で戦うことはできるが、負傷者を救出するのは戦うよりずっと難しい。隊員は、負傷したロシア兵が2日間戦場に横たわって救出を待っていたことに言及した。
ウクライナ側が大砲やドローンという点で有利であることだけが問題ではない、と隊員は主張した。また、クリンキ周辺のロシア軍の指導力と協調性の欠如について不満を言った。「上級の司令官は一部の部隊と意思疎通を図ることができない。かなり不思議だ」
だが、不思議ではない。どの師団もわずか数カ月の訓練で、経験豊富な敵との大規模な戦闘に完全に対応できるようになるとは思っていないはずだ。
それでもクリンキの戦いはロシアの5個目の空挺師団に有利に傾くかもしれない。米連邦議会の親ロシアの共和党議員がウクライナへの軍事支援の予算を拒否し続けており、ウクライナへの援助は急減する可能性がある。
だが、ロシア軍がクリンキで勝利するとしたら、それは準備が周到だったことが理由にはならないだろう。
(forbes.com 原文)