日本や台湾の空の防衛にも役立つ可能性
防空オペレーションのミスは、2020年にイランで発生したウクライナの旅客機の撃墜事件のような悲劇につながる可能性がある。この事件は、イランが米国からの報復を強く警戒していた時期に発生した。「ロードランナーが参加する軍事ミッションのほとんどは、爆弾を用いるものにはならないと思います」とラッキーは述べている。「ほとんどの場合は、リスクを最小限に抑えるために、正確な情報を得るためのものになります」
ロードランナーが、高速な戦闘機の迎撃に使えるかどうかは不明だが、この機体は、台湾や日本のような、中国による領空侵犯が相次ぐ地域の空軍のストレスを軽減できる可能性がある。
アンドゥリルは、神風機ではないロードランナーに、電子戦に備えるデバイスなどのさまざまな種類のペイロードを搭載して生産する計画だ。ラッキーはまた、この機体を近年の米国で相次ぐ森林の大火災の消火活動に使用することを想定していると述べた。
米国のシンクタンク、戦略国際問題研究所(Center for Strategic and International Studies)の研究員でドローンの専門家のザカリー・カレンボーンは、アンドゥリルが主張しているロードランナーの性能は、魅力的に思えるとフォーブスに語った。
近年はドローンの自律性が向上しており、これまで有効だった妨害電波を用いた防御が無意味になりつつある。そんな中、ロードランナーのような迎撃機能を持つドローンの需要は高まっていると彼は指摘した。
しかし、アンドゥリルが開示した限られた情報だけで、このドローンの価値を算定することは困難だ。
製造コストが数十万ドルのロードランナーで、2万ドルから5万ドルと推定されるイラン製ドローンを撃ち落とすことは、400万ドルのパトリオットミサイルを発射するよりも理に適っているかもしれない。しかし、ウクライナは、重機関銃からのはるかに安価な弾丸射撃で中型ドローンを倒すことに成功している模様だ。
さらに、ミサイルメーカーのレイセオンはコヨーテと呼ばれる防空ドローンを米陸軍に供給しているが、このドローンはわずか5000ドル程度という価格ながら、比較的小さな、グループ1からグループ2のカテゴリの無人機に対処できるという。
一方、中国のCH-4のような大型無人機を撃墜する場合は、従来の防空ミサイルが必要になる。その一例として、ウクライナがロシアとの戦いで開戦初期に使用し、威力を発揮していたトルコ製ドローンのバイラクタルTB-2は、戦線が静止し、ロシアが防空ユニットを設置した後に戦場から姿を消した。
「アンドゥリルが、どういう用途を狙っているのか、相対的な価値がどれほどのものなのかは、今ある情報だけではわからない」とカレンボーンは語った。
(forbes.com 原文)