エルロイ・エアの共同創業者で最高経営責任者(CEO)のデービッド・メリルによると、今回のチャパラルC1型機の試験飛行は、これまでの機体を地面につないだテスト飛行とは異なるもので、パッドから高度約7.2mまで垂直に上昇し、57秒間ホバリングした後に着陸した。
サンフランシスコの東に位置するカリフォルニア州バイロンの空港の施設で行われた短時間の飛行は、「ミドルマイル」の貨物輸送のニーズを満たすための重要なマイルストーンを達成したと、エルロイ・エアは述べている。
チャパラルC1は、300~500ポンド(約136~227kg)の貨物を積んだポッドを自律的にピックアップし、300マイル(約483km)離れた目的地まで運び、それを下ろした後に再びポッドをピックアップするよう設計されている。
メリルは、この航空機を「今日の運用実態に適した物流のための垂直離着陸機」と呼び、従来の電動垂直離着陸機(eVTOL)とは異なる、ガスタービン駆動の発電機とバッテリーを組み合わせるハイブリッド方式を採用したと説明した。
チャパラルC1を駆動する分散型電気推進システムの利点は、1つのローターが故障しても対応可能な点にあるが、問題は、バッテリーがまだ長距離のミッションに対応していないことだという。そのためエルロイ・エアは、航続距離を伸ばすためにガスタービン駆動の発電機とバッテリーを併用するハイブリッド式を採用した。
「当社の顧客のフェデックスや空軍、さらには世界食糧計画のような人道支援団体がサポートしたいと思う環境の多くには、充電ステーションが存在しない」と、エルロイ・エアのコフィ・アサンテ戦略担当副社長は述べている。
同社は、すでに約900機を受注したと報じられている。商業や防衛、人道支援団体などの顧客の多くは、通常はアクセスしにくい環境で同社の機体を利用する計画だ。エルロイ・エアは、物流大手のフェデックスのほか、主にヘリコプターを使用する世界有数の垂直航空サービス会社であるブリストウ・グループやLCIアビエーションとも契約を結んでいる。
米軍とのプロジェクトも本格始動へ
アサンテによると、同社の受注は直近で1000件を突破し、米空軍とも3件の契約を結んだという。エルロイ・エアは、これらの空軍との契約を念頭に、防衛関連の諮問委員会を設立し、同分野のニーズを満たすためのアドバイスを提供しようとしている。
エルロイ・エアの取締役会メンバーで、2020年11月まで米国防長官を務めたマーク・エスパーは声明で、「エルロイ・エアのチームは、チャパラルC1の初飛行というエキサイティングなマイルストーンを達成した。現場での兵員補給のための自律的な貨物輸送を可能にする同社の機体は、米軍と同盟軍を支援・維持するための画期的なツールとなるだろう」と述べている。
(forbes.com 原文)