アーチャーは、空軍の「AFWERX」プログラムの一環として2021年に米国防総省とパートナーシップを締結しており、今回の契約はその延長線上にある。AFWERXプログラムの目的は、中小企業やスタートアップとの提携を通じて空軍に新たな技術をもたらすことだ。
共同リリースによると、契約にはアーチャーが空軍向けにeVTOL「ミッドナイト(Midnight)」を最大6台製造するほか、追加飛行テストデータと認証関連テスト報告書の共有、パイロットの訓練、保守・修理業務が含まれている。
アーチャーの創業者でCEOのアダム・ゴールドスタインは、声明の中で次のように述べた。「この歴史的な合意は、最先端技術を搭載した我々のeVTOLを採用するという空軍の確固たるコミットメントを反映している。我々は、国防総省と空軍と緊密に協力し、主に輸送やロジスティクス、救難などのオペレーションにミッドナイトを組み込むことを楽しみにしている」
ミッドナイトは、パイロットを含め5名を乗せることができ、20マイル(約32キロ)の距離を往復して1000ポンド(約454キロ)を超えるペイロードを輸送することができる。充電は飛行の合間に行い、10分程度で済むという。
空軍は、ミッドナイトを人員輸送やロジスティクス支援から救助活動まで幅広いミッションに使用するとしている。空軍とアーチャーは、ミッドナイトがヘリコプターよりも格段に安全で、費用対効果が高いことを強調している。また、高度2000フィート(約610メートル)を飛行するよう設計されているため、地上で聞こえる電気モーターの音量はわずか45デシベル程度に過ぎないという。
「eVTOLは、航空宇宙分野における第3次革命の最前線にある。アーチャー・アビエーションとの契約により、国防総省と空軍はeVTOLが米軍にもたらす多くのメリットを早い段階から享受することになる」とAFWERXプログラムの責任者のトム・ミーガー大佐は声明で述べた。
アーチャーは、5月に、同社が米政府や公共安全機関と全面的に関わり、eVTOLの商業化の機会を探ることを目的とした政府サービス諮問委員会の設立を発表した。同社はまた、自動車大手のステランティスとの関係を強化している。ステランティスは、6月にアーチャーの株式を追加購入し、出資比率を高めたと発表した。
アーチャーはさらに、ジョージア州コビントンに世界初となるeVTOLの量産工場を建設中だ。同社は、2021年にはユナイテッド航空と15億ドル規模の契約を締結していた。ユナイテッド航空は、ハブ空港間や空港から市街地へ旅客を輸送するため、アーチャーの航空機を200機購入する計画だ。
(forbes.com 原文)