中国の「空飛ぶタクシー」メーカーEHangが商用運航開始へ

EHang EH216-Sモデル (C)EHang

中国の旅客ドローンメーカーEHang(イーハン)は10月13日、同社の旅客用ドローンが中国民用航空局(CAAC)から型式証明を取得したと発表した。同社のEH216-Sモデルは、16個のプロペラを備えたeVTOL(電動垂直離着陸機)で、2人の乗客を乗せた際の最高時速は130キロ、最大航続距離は30キロとされている。

イーハンの創業者でCEOの胡華智は声明の中で「当社が独自に開発した旅客輸送システムは、世界のeVTOL業界で初めて中国当局の承認を確保し、民間航空の歴史に重要な一歩を刻んだ」と述べている。

同社が最初に申請を行ったのは2021年1月のことで、3年弱をかけてこの認証を獲得したことになる。イーハンによると、認証プロセスには500の特定テストと4万回以上のテスト飛行が含まれていたとのことで、もし正確であれば、同社は試験期間中に1日あたり約40回の飛行を実施したことになる。

世界で最も交通渋滞が激しい国の1つに挙げられる中国の大都市で、旅客ドローンの運航が始まれば移動の効率が大幅に改善されることになるが、どの程度のコストが必要かはまだわからない。さらに、安全性も重要な課題となるが、イーハンによると、EH216-Sは広範な信頼性と安全性のテストを通過し、ハッキングに対抗するためのセキュリティソフトウェアも備えている。

また、必要に応じてドローンを遠隔操作するコマンド&コントロールセンターも用意している。

長年にわたり旅客ドローンの開発に取り組んできたイーハンは、正確な時期は未定だが、間もなく実際に旅客を乗せた運用を開始する模様だ。貨物輸送分野においては、ブルガリアのスタートアップ企業Dronamics(ドロナミクス)などが、自律型ドローンの商用利用を開始したが、旅客輸送分野でこのテクノロジーの商用利用を開始した企業はまだ現れていない。

北米やヨーロッパで旅客ドローンの導入が実際に始まるかどうかはまだ不明だが、イーハンは日本やスペインでも試験飛行を行っており、近い将来に中国以外の国へ事業範囲を拡大する可能性がある。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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