せりか:ビデオ撮影ができる衛星は珍しいですね。HOTSATの映像が地上に届くまでにはどのくらいの時間がかかりますか?
アンソニー:HOTSAT1、2号機の目的2時間以内に衛星のコマンドを送信、観測して、地上でデータをダウンロードすることです。しかし、より早くデータを受け取りたいと考えるユーザーもいるでしょう。HOTSAT3号機以降は中継衛星を活用して、15分以内に衛星のコマンドを送信することを目標にする予定です。また、データを地上に送る前に衛星上でデータを解析して、火災が起きている場所の位置や炎が燃え広がる速度などの情報を取り出して、いち早く地上に届ける計画もあります。
以前はロケットで衛星を打ち上げるのに1kgあたり5万ドルかかっていたので、人工衛星を開発するときに常に重さを軽くすることを考えていましたが、SpaceXのおかげで約6000ドルまで下がりました。重量はもはや問題ではなくなり、技術的な性能を最適化するための設計をしています。最近の打ち上げコストの変化とアジャイルな衛星設計は、宇宙でより面白いことができるようになったことを意味しています。。
そして、これからの10年間で一番エキサイティングなことは、新たなセンサ開発でしょう。私たちは3.5m解像度の熱赤外センサの開発から始めましたが、もっと面白いものを検出できるようにさらに改良していくつもりです!
せりか:HOTSATを通じて、社会にどんな貢献ができると思われますか?
アンソニー:世界をより持続可能に、そして安全なものにしていくことが私たちの使命です。宇宙から地球を俯瞰する衛星データは、透明性が高く、独立した情報源です。衛星データは人々を正しい方向に導き、政府や企業、そして一般市民が地球環境を改善するために何をすべきか判断するのに役立つはずです。
せりか:やはり衛星データは透明性が高い情報源であるという点がポイントになりますね。アンソニーさん、ありがとうございました!
せりか宇宙飛行士との対談シリーズ第24弾のゲストは、Satellite Vuの共同創業者兼CEOのアンソニー・ベイカーさんでした。
次回は、sorano meの代表取締役社長・城戸 彩乃さんをお迎えして、ウェルビーイングやサステナビリティへの衛星データの利活用の可能性についてうかがいます。お楽しみに。