誤解が多い、物流倉庫における「人間とロボットの協働」事情

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マッキンゼーが世界企業250社を対象に行った調査によれば、荷主企業の91%、物流サービス業者の75%が倉庫管理システムを導入している。これは熟成した技術だ。それとは対照的に、自律走行搬送ロボット(AMR)はあまり普及していない。現在の推定では、米国の物流倉庫でAMRを導入しているのは8%未満だ。しかし、その状況は急速に変わりつつある。ARC Advisory Groupによる倉庫内AMRに関する最新の市場調査では、2桁成長が予測されている。ARCは具体的な成長率を述べていないものの、彼らが言及しているのは10%を大幅に上回る成長である。

AMRは生産性を向上させ、倉庫業が悩む人員不足を補う役目を果たす。だが、物流業界の幹部には、このようなシステムを使って仕事をしたことのある人はほとんどいないため、倉庫内AMRが人間とどのように仕事をするのかについての誤解があるようだ。

Lucus Systems(ルーカスシステムズ)のマネージャー、ジェームス・ハートによれば、AMRは、商品の選別、人間への手渡し、ロボット追従、移送、パレット全体の移動など、さまざまなタイプのピッキングに対応しなければならないため、一種類のロボットだけで全てを賄うことはできないという。Lucus Systemsは、音声によるピッキングソフトウェアなど、物流倉庫のパフォーマンスを向上させるためのソリューションをいくつか提供している。ハートは「DC(配送センター)で、すべてのプロセスで満足できるように最適なロボットを配備するには、異なるプロバイダーの異なるAMRが必要になる場合があります」と指摘する。だがこれは控え目な表現だ。実際、AMRベンダーでこれらすべての異なるピッキングモードに対応するロボットを提供できるところはないからだ。

場合によっては、倉庫管理システムでロボットを効果的に最適化できることもある。たとえば、倉庫に移送ロボットやフルパレット移動ロボットがある場合、倉庫管理システムはそれらをあたかも人間の労働者のように扱うことができる。倉庫管理システムにとっては、出発地から目的地への移動を指示するだけで、その作業をするのが人間であろうとロボットであろうと関係ない。

あるいは、倉庫管理システム自体は移動を管理するのに必要なロジックを持っていない場合もある。たとえば、(人間がロボットと一緒に移動する)ロボット追従型のAMRシステムでは、ロボットと人間の動きを協調させる。これを行うためには、倉庫管理システムの上で実行される別のロボット実行システムが必要になる。
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翻訳=酒匂寛

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