テクノロジー

2023.11.27 11:00

海洋ごみ、ヒートアイランド現象…温度計衛星で社会課題に挑む【伊東せりか宇宙飛行士と考える地球の未来#24】

世界の温度計「HOTSAT」

せりか:6月には熱赤外センサが搭載されている、Satellite Vuの最初の衛星「HOTSAT-1」が打ち上がりましたね!
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アンソニー:HOTSAT-1の試験運用が完了して、ついに11月から本格的な運用が始まりました! まずはエネルギー関連の事業者向けに産業プラントなどの施設をモニタリングするサービスを提供します。

HOTSAT-1が撮影した千葉県の臨海部コンビナート (c)Satellite Vu

HOTSAT-1が撮影した千葉県の臨海部コンビナート (c)Satellite Vu

光学衛星画像との比較 (左:Sentinel-2 L2Aの画像 (c)European Union, contains modified Copernicus Sentinel data 2023,processed with EO Browser 右:HOTSAT-1による画像 (c)Satellite Vu)

光学衛星画像との比較 (左:Sentinel-2 L2Aの画像 (c)European Union, contains modified Copernicus Sentinel data 2023,processed with EO Browser 右:HOTSAT-1による画像 (c)Satellite Vu)

今後は数年以内に少なくとも8機体制にします。いまは2号機を開発しているところで、これは2024年に打ち上げる予定です。複数の衛星を打ち上げると、1日に数回同じ場所を観測して、昼と夜のデータの違いを比較したり、エネルギーの排出量が増える時間のパターンを見つけたりできます。8機体制になれば、例えば昼夜を問わず東京を2、3時間に1回観測できるでしょう。

世界中の国や企業の多くは温室効果ガスの排出量を全体としてゼロにする「カーボンニュートラル」という目標を宣言しています。ところがその多くは何から始めればいいのかわからず、行動を起こしてみたとしても、それがどのくらいの変化をもたらすかがわからないのです。
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そこで私たちがお手伝いできることがあります。Satellite VuのHOTSATで工場を見れば、熱効率を見直したことによる効果を測れます。

世界最上級の解像度を誇る熱赤外衛星

アンソニー:熱赤外センサを搭載しているほかの衛星と比べて、HOTSATは解像度がはるかに良いです。これまでの熱赤外衛星の解像度は、100m分解能(1ピクセルあたり100m)程度でしたが、HOTSATは3.5m(1ピクセルあたり3.5m)の解像度でモニタリングできます。つまり、これまでの熱赤外衛星が観測できていたのは畑ほどの大きさのものまでだったのに対して、HOTSATは個々の建物を見ることができます。

HOTSAT-1が撮影した神奈川県横浜市・大黒ふ頭付近 (c)Satellite Vu

HOTSAT-1が撮影した神奈川県横浜市・大黒ふ頭付近 (c)Satellite Vu

光学衛星画像との比較 (左:Sentinel-2 L2Aの画像 (c)European Union, contains modified Copernicus Sentinel data 2023,processed with EO Browser 右:HOTSAT-1による画像 (c)Satellite Vu)

光学衛星画像との比較 (左:Sentinel-2 L2Aの画像 (c)European Union, contains modified Copernicus Sentinel data 2023,processed with EO Browser 右:HOTSAT-1による画像 (c)Satellite Vu)

3.5m解像度でなら、建物や道路、駐車場を見て、都市部ほど気温が高くなる「ヒートアイランド現象」の原因となる構造物の位置を特定することもできます。
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