日本で金価格が爆上がり中 政府・日銀の「円安放置」で高まる価値

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10月の金(ゴールド)価格は、米国債利回りの急上昇やドル高といった逆境にありながら、同月としては過去50年近くで最高の上げ幅を記録した。ニューヨーク市場の金スポット価格は10月31日、1トロイオンス1983ドルで締めくくり、月間の上昇率は7.3%に達した。11.7%を記録した1978年10月以降、同月としては最高の伸びだった。

金利の付かない資産である金の価格は歴史的に、債券の利回りが上昇基調にある時期には低迷してきた。だが、今年は例外となっている。背景には、米国で過去最大規模に膨れ上がっている政府債務、クレジットカードの延滞率の上昇、(連邦準備制度理事会のジェローム・パウエル議長はもはや想定していないというが)なおくすぶるリセッション(景気後退)懸念、さらにはウクライナとパレスチナでの2つの戦争と、経済的あるいは地政学に大きなリスクが重なっているという事情がある。

市場が不透明な時期に輝く金

こうした状況のなかで、今後も投資対象として金の引き合いが強まりそうだと感じた読者は、金のさらなる値上がりに賭けて、投資ポートフォリオに金を追加する(あるいは配分を高める)のによい時期かもしれない。

ただ、一点注意したいのは、相場の過熱感を示すRSI(相対力指数、14日平均)という指標によれば、11月上旬時点で金は「買われすぎ」らしいことだ。短期的には利益確定の売りもある程度出てくるかもしれない。

筆者としては、ポートフォリオでの金のウェートは10%を超えないようにし、金現物(金地金や金貨、金製の宝飾品)、優良な金鉱株、金関連のミューチュアル・ファンド(オープンエンド型の投資信託)、金関連のETF(上場投資信託)に均等に配分することをおすすめする。また、少なくとも年に1度は資産構成を見直すようにしたい。

中央銀行の旺盛な「金買い」も続く

まだ迷っている方は、公的部門の動向にも目を向けよう。金の国際調査機関であるワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)の最新リポートによると、世界の中央銀行による2023年7〜9月の金購入高は337トンにのぼり、7〜9月としては過去2番目に多かった。2023年1〜9月では800トンに達し、前年同期を14%上回っている。

国・地域別で7〜9月に金購入高で上位を占めたのは、ドル以外への外貨準備の多様化を進めている新興市場国の中銀だった。トップは中国人民銀行の78トンで、ポーランド国立銀行(56トン強)、トルコ中央(39トン)と続いている。
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翻訳・編集=江戸伸禎

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