宇宙

2023.11.16

内部の天体がチラチラ瞬く「クリスマスツリー銀河団」、NASAが画像公開

クリスマスツリー銀河団「MACS0416」の画像(NASA, ESA, CSA, STScI, Jose M. Diego (IFCA), Jordan C. J. D'Silva (UWA), Anton M. Koekemoer (STScI), Jake Summers (ASU), Rogier Windhorst (ASU), Haojing Yan (University of Missouri))

ハッブルとジェイムズ・ウェッブという最も名が知られている2基の宇宙望遠鏡の観測データを合成して作成した、壮大な画像が公開された。遠方銀河の大規模な集団同士が時空世界で衝突合体し、より巨大な集団を形成しつつある様子を捉えた画像だ。

ハッブル宇宙望遠鏡(HST)は主に可視光で観測する一方、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)は赤外線で観測する。人間の目には見えない赤外線は、地球の大気圏内で検出するのが難しい。

宇宙最大の天体

HSTとJWSTのデータをフィルターで合成して作成した、息をのむほど美しいこの画像は、広大な銀河団「MACS0416」を撮影したもの。NASAによると、銀河団は、重力によって互いに束縛された多数の銀河からなる集団で、知られている宇宙で最大の天体だ。

目を見張るような美しさのこの最新画像は、オンラインでズーム機能を使って詳細に調べることができるほか、解像度4457x4133ピクセル(約18万画素)の画像を誰でもフリーでダウンロードできる。

MACS0416は、太陽系から43億光年という途方もない距離にある。

クリスマスツリー銀河団

今回の研究成果をまとめた2件の論文のうちの一方の筆頭執筆者で、米ミズーリ大学コロンビア校のハオジン・ヤンは「MACS0416はクリスマスツリー銀河団と呼ばれている。とてもカラフルなだけでなく、内部にチラチラと瞬く光源があるからだ」と話す。「至るところに突発天体が見られる」 突発天体は、観測される光度が時間とともに変化する天体だ。

両宇宙望遠鏡の観測データに基づき、2件の独立した論文が発表され、一方は専門誌The Astrophysical Journalに、もう一方は専門誌Astronomy & Astrophysicsにそれぞれ掲載された。

広範囲にわたる眺望

NASAによると、今回の合成画像は、これまでに撮影された最も広範囲にわたる宇宙の眺望の1つだという。画像に写っているのはMACS0416だけでなく、背景にある無数の完全に無関係な銀河だ。
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翻訳=河原稔

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