さらには小さな、引き伸ばされた線も複数写っている。これらの線は、重力レンズ効果の証拠だ。重力レンズは、前方にある天体の重力場が非常に強いために、天体の周囲の空間が歪められることで起こる現象。これにより、背後にある天体からの光が曲げられ、円環状の像ができることで、背後の天体の存在が明らかになるとともに、拡大された像が得られる。「アインシュタインリング」や「宇宙の虫眼鏡」とも呼ばれている。
重力レンズは、途方もなく遠方にある天体の探索と研究を行う手段として、ますます有用性が高まっている。
ハッブルの遺産
JWSTの観測データを収集した、PEARLS(再電離とレンズ科学のための主要な銀河系外領域)プロジェクトの研究責任者で、米アリゾナ州立大学のロジェ・ウィンドホーストは「ハッブルの遺産を足がかりに、より遠方へ、より暗い天体へと押し進むことによって、研究を前進させている」と話す。「ウェッブとハッブルのデータを組み合わせることによって初めて全体像が明らかになる」(forbes.com 原文)