地球から8億2000万光年の距離にあるこの巨大な泡構造は、米ハワイ大学のブレント・タリー率いるチームが、網の目状に分布する銀河の地図を作成中に予期せず発見した。
泡構造は「フレイラナ(Hoʻoleilana)」と命名された。構造の始まりを想起させるハワイの天地創造の聖歌にちなんだ名前だ。フレイラナは、ラニアケア超銀河団につながっているが、その規模はラニアケアよりはるかに大きい。タリーのチームが2014年に発見したラニアケアは、ハワイ語で「広大な天」を意味する。
網状構造
学術誌The Astrophysical Journalに掲載された、今回の研究をまとめた論文によると、フレイラナの発見は偶然によるものだった。「それを探していたわけではない」と、タリーは説明する。「非常に大きいので、私たちが調査対象としていた空の領域の端からはみ出している」銀河は数十個以上からなる集合体(銀河群や銀河団)を形成しており、これらの集合体が密集して連なり、網の目状の構造を形成していることは、すでによく知られている。
巨大な球殻
だが、フレイラナはスケールが違っている。銀河5万6000個の距離データを地図化していた天文学者らが偶然発見したこの構造は、内部に既知の超銀河団(銀河群や銀河団が集まった大集団)が複数存在している。その中には「かみのけ座銀河団」「ヘラクレス座銀河団」「スローン・グレート・ウォール」「うしかい座超銀河団」と、空洞の「うしかい座ボイド」などが含まれる。研究チームの地図作成担当者で、仏CEAパリ・サクレ大学の研究者ダニエル・ポマレードは「今回の地図を作成し、フレイラナの巨大な球殻構造がどのように構成されているかを調べるのは驚嘆すべきプロセスだった。フレイラナの各構成要素それ自体が、宇宙の最大規模の構造の1つとして、過去に特定されていたのだ」と話した。
予想以上
フレイラナのような構造は、初期宇宙に存在した揺らぎ「バリオン音響振動」の結果と考えられている。しかし、フレイラナは予想以上に明確な特徴だと、研究チームは指摘する。「10億光年という非常に大きな直径は、理論上の予想をはるかに上回っている」とタリーは述べている。比較すると、フレイラナに隣接するラニアケアの直径は、約5億光年だ。
(forbes.com 原文)