WHAT WE THINK
Temuは、主にその積極的なマーケティング戦略と超低価格戦略により、急速に世界的な広がりを見せています。しかし、調査結果からも明らかなように、米国の消費者は、サプライチェーンの透明性、データプライバシー、プラットフォームと中国とのつながりに関する懸念を示しており、Temuからの商品購入をためらう傾向が強まっています。オンラインマーケットプレイスであるTemuは、商品の製造に責任を負わないため、こうした消費者の懸念を払拭するためには、販売者と協力して、商品の製造場所、原材料、従業員の労働条件など、サプライチェーンに関する情報をきちんと開示する必要があるでしょう。また、データプライバシーとセキュリティ対策を優先し、個人情報が保護されていることを消費者に示すことも必要です。
さらに、定評のある米国企業と協力することで、米国消費者の間でTemuの信頼性と信用度を高め、同社の成り立ちや関連企業に対する懸念を軽減することができるでしょう。
ブランドや小売企業にとっての意味合い
・Temuは、米国で拡大するドルストアやオフプライスチェーン、食料品ディスカウントストア、Sheinのようなオンライン小売企業などのディスカウントストアの仲間入りを果たしました。短期的には、価格重視の消費者がお買い得品と低価格を求める中、インフレ圧力やマクロ経済の不確実性の状況の恩恵を受けると思われます。・低価格や送料無料などのメリットを提供するTemuのような越境ECマーケットプレイスの出現は、米国や世界の小売企業にとって、利幅を維持しながら競争力を維持するための課題となっています。
・国際的なブランドは、流通チャネルを拡大し、より広範な消費者層にリーチする手段として、Temuとの提携を検討する可能性がありますが、Temuに対する消費者認知が好ましくない場合などの潜在的なリスクも考慮する必要があるでしょう。
Temuの影響を受けにくい小売企業
・Temuは、一般的な商品を幅広く取り揃えているため、ほぼすべての小売企業にとって競合となりえます。
しかし、Temuでは有名ブランドの取り扱いがほとんどなく、サードパーティブランドの商品に特化した小売企業とは異なる品揃えを提供しているため、ブランドに関心のある消費者がノンブランド商品に切り替える可能性は低いとみられ、プライベートブランドの割合が低く、高価格帯で、迅速な配送を重視しているZalandoのような企業は、Temuの出現による影響が最も少ないことが予想されます。
