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2023.11.16 09:30

5年で総売上高300億ドルのTemu 不安を感じる消費者も増加

田中友梨

市場規模とビジネスチャンス

取引データ分析を提供するブルームバーグのセカンド・メジャーによると、Temuは2022年9月に米国での展開を開始して以来、37カ国に進出しています。最近ではチリとフィリピンに進出し、2023年8月に事業を開始しました。中国メディアの36Krによると、Temuは2027年末までに総売上高300億ドルを目指しています。

Temuは、AliExpress、Shein、Wishなど、国際市場で事業を展開する他の越境EC企業と同じ業態を採用し、急速にその規模を拡大させています。これらの企業は主に、ほとんどの商品を中国で調達または製造し、海外で、超低価格で販売するというビジネスモデルを採用しており、中国のデジタル・サプライチェーンの強さを考えれば、これは特に魅力的なビジネスモデルとなっています。

また、中国経済の不確実性と成長の鈍化が、中国企業の海外展開への関心を高め、グローバルな越境ECの成長を支えています。

越境EC企業のESWによると、世界の越境EC市場は2021年に約8260億ドルに達し、2025年には3兆ドルに成長すると予測されています(図1参照)。

図1. 世界の越境EC市場規模(10億米ドル)
出典:ESW/Coresight Research

米国市場におけるTemuの成長と課題

米国消費者の間でのTemuのブランド認知度は、過去6カ月で大幅に上昇しました。8月の調査では、回答者の68.5%がTemuのアプリまたはウェブサイトをよく知っていると回答し、2月の48.3%から20.2ポイント上昇しました。これは、PDD HoldingsがTemuの露出を高めるために、継続的なセールやソーシャルメディアを通じたお得な情報の提供など、多額のマーケティング投資を行った結果だと思われます。

年齢層別では、高齢層よりも若年層の方がTemuを知っていると回答した割合が高いことが分かりました。しかし、興味深いことに、Temuのブランド認知度は30~44歳の層でピークに達しており、最新の調査では、この年齢層の77.0%がTemuを知っていると回答しています。なお、18~29歳の若年層では、ほぼ4分の3がTemuを知っていると回答しています(図2参照)。

図2. 米国消費者のTemuの認知度:全体および年齢層別内訳
(図内の訳、コメント「Temuの認知度は若年層の方が高い」)
※Temuをよく知っているとは、アプリやウェブサイトを含む。
対象:米国の18歳以上の回答者400名(2023年8月28日調査)
出典:Coresight Research
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文=RxR Innovation Initiative

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