米国の消費者がTemuを知ったきっかけに関する質問の回答としては、ソーシャルメディア、オンライン広告、口コミの3つが上位を占め、それぞれTemuをよく知っていると回答した回答者の4分の1以上が挙げていました。上位3つの回答内容は2月以降変わっていませんが、それぞれを挙げる割合は3.3~8.7ポイント増加しています(図3参照)。
なお、前述の通り、Temuは新規ユーザー獲得にゲーミフィケーションや紹介制度を採用しており、既存顧客がソーシャルメディア経由でプラットフォームへのリンクを共有することで報酬を獲得し、短期間に複数のリンク共有やアプリダウンロードを促進しています。
また、Temuを知ったきっかけの回答結果を2月の調査結果と比較すると、「ネットでお得な情報を探している」が若干増加し、「アプリストアの広告」に次いで4番目に多く挙げられました(上位3つ以外で唯一増加した回答)。このことは、同社の低価格戦略により、価格重視の消費者の間で広く認知されていることが伺えます。
図3. Temuを知ったきっかけ(回答者の割合)
(図内の訳、選択肢上位から「ソーシャルメディア」「オンライン広告」「口コミ」「お得な情報を検索している時」「アプリストア内広告」「テレビ広告」「ニュース」「その他」「覚えていない」
コメント「Temuをよく知っていると回答した消費者がTemuを知ったきっかけとして、半数以上がソーシャルメディアを挙げており、同社の紹介型マーケティングアプローチの効果を示唆している」)
※Temuをよく知っているとは、アプリやウェブサイトを含む。
※回答者は複数の選択肢、または「覚えていない」を選択可能。
対象:Temuをよく知っている米国の回答者274名(2023年8月28日調査)、193名(2023年2月27日調査)
出典:Coresight Research
米国のEコマース市場は競争が激しいため、Temuは顧客獲得、キャンペーンクーポンの提供、広告によるブランド認知度向上に多額の費用を費やしています。これはPDD Holdingsの販売・マーケティング支出に反映されており、2022年第4四半期には前年同期比55.9%増と急増し、2023年第1四半期と第2四半期も高水準で推移しています。
また、2023年5月に米誌『WIRED』が報じたところによると、Temuは知名度を高めるため、さらに多額の投資をマーケティングに行う予定で、2023年には米国での広告キャンペーンに14億ドル、2024年には43億ドルを投じる計画です。
図4. PDD Holdingsの販売・マーケティング費用(10億人民元)
(図内の訳、コメント「Temuの顧客獲得コストがPDDの販売・マーケティング支出を押し上げている」)
※PDD Holdingsの決算は12月31日
出典:企業レポート