・TemuがSheinのような世界的人気を確立するには、まだ長い道のりがあるとみられますが、収益性の高い親会社であるPDD Holdingsという強力な後ろ盾があるため、環境や社会的責任の信頼性という点では、今のところ風評上の懸念は少ないと思われます。Sheinは現在、ビジネスモデルをオンラインマーケットプレイスへと拡大し、Amazonといったライバルと競合しています。
Sheinは当初は小売企業として運営され、自社で在庫を調達し、すべての工程を管理していましたが、最近では、ブラジルと米国でオンラインマーケットプレイスを立ち上げることを発表しました。この動きにより、家電、スマートホームアイテム、家庭用品などの品揃えの選択肢が増え、Sheinはライバル企業との競争に打ち勝とうとしています。
・Temuの商品構成は、量販店、倉庫型クラブ、小売企業とある程度重複しており、超低価格帯と幅広い品揃えは、特に価格に敏感な消費者にとって魅力的に映っています。
TemuはFive Belowと同様の商品をさらに低価格で提供しており、そのターゲット層である若年層もFive Belowと重なっています。そのため、量販店やディスカウント小売企業は、特に非食品カテゴリーでオンライン化が進む中、Temuの成長を注視する必要があるでしょう。
・Temuの幅広い品揃えと超低価格戦略は、Amazonの市場シェアをも奪う可能性があります。Amazonは現在、一般的に配送時間が早いという利点がありますが、価格を重視する消費者は、入手まで時間がかかることを厭わない可能性があり、そのことは既にSheinの成功が物語っています。
さらに、Temuは、すでにAmazonで事業を展開している中国の製造業者や販売業者に対して、委託販売モデルのもと、運営リスクやコストをほとんど追加することなく、新たな販売チャネルとして商品を提供することができます。
付録
・付録1. Temuのビジネスモデル出典:Momentum Works
・付録2. Temuの主な動向タイムライン
※2022年9月に米国でTemuが事業開始してからの動向
出典:企業レポート/メディアウェブサイト
注釈および方法論
・本稿のデータは2023年9月18日現在のものです。
・本稿のデータは、Coresight Researchが米国の18歳以上の消費者を対象に2023年8月28日(回答者数400名)および2023年2月27日(回答者数400名)に実施した調査結果に基づいています。結果の誤差は±5%、信頼区間は95%です。
※この記事は、2023年9月にリリースされたRxR Innovation Initiativeからの転載です。