2. 自然に触れる機会が増えるとウェルビーイングが向上
頻繁にサイレントウォーキングに出かける人は、静かで穏やかな場所を選ぶことが多い。にぎやかな町中や混雑した公園を避け、自然に囲まれ、心安らかになれる環境に足を運ぶのだ。これが、メンタルヘルスにとって非常に効果的だ。科学誌『サイエンス』で2022年に発表されたある研究は、61カ国から集められた300件を超える研究活動のデータを分析している。それによると、自然と触れ合うことで私たちの人生は、200以上の非物質的な方法で豊かさが増すという。研究では、自然がもたらすそうした恩恵を、16の特有の関連性に集約。人はそれらを通じて、自然から目に見えない恩恵を享受しているとされた。
なかでも注目すべき関連性には次のようなものがある。
・人との結びつき。共通の自然体験をもつと、他者との関係がいっそう強固になる
・直感。自然に触れると、内在的な体験と感覚的体験の質が高まる。スピリチュアルな、もしくは宗教的な意義をともなうことが多い
・満足。自然に囲まれると、満ち足りた気持ちと、人生全般の充足感が高くなる
・変容。自然は、気分と視野の変化を促し、姿勢や行動に影響を与える
ウォーキングは、知的な鋭敏さを向上させる。さらに、自然のなかに身を置くことで、脳が活性化されてさまざまな効果が生じる傾向もある。2019年に心理学ジャーナル『Current Directions in Psychological Science』で発表された研究では、自然のなかで時間を過ごした人の認知機能が目立って改善され、都会で過ごした人とは対照的だったことがわかった。自然のなかで時間を過ごすと、認知の柔軟性が増し、作業記憶と注意力が向上した一方で、都市環境では集中持続時間が短くなったのだ。
結論
サイレントウォーキングは、その効果に確かな科学的根拠があり、すぐさま心が落ち着くという効果以上の大きな恩恵をもたらしてくれる。静寂は、メンタルヘルスの向上を助ける力をもつ。さらに、静寂を自然および運動と組み合わせると、その効果はさらに向上する。サイレントウォーキングを日々の習慣に取り入れることで、より知的に鋭敏で、心配ごとの少ない人生に向かう前向きな一歩を踏み出せるかもしれない。
(forbes.com 原文)