金星のホスフィン
原子状酸素の検出はこれが初めてだが、おそらく最近の金星でのホスフィン(PH3)検出ほどワクワクはしないだろう。リンと水素からなる分子ホスフィンは、生命の痕跡と考えられている気体だ。最初に発見されたのは2020年で、今年の研究では微量のホスフィンが疑いなく、金星の大気中に存在すると考えられることが確認された。ホスフィンは、地球では可燃性の有毒ガスだ。金星では少なくとも、雲の最上部で奇妙な化学反応が起きていることの証拠となり、別の解釈をすれば、地球以外の惑星での耐酸性微生物の驚くべき発見ということになる。
今回の論文発表のわずか数日前には、木星の衛星ガニメデの表面に無機塩類と有機化合物が存在することを示唆するNASA探査機ジュノーの最新観測データに基づく研究論文が発表されていた。
金星への再訪
金星についてさらに多くのことを明らかにするために、3つの新たな探査ミッションの準備が進められている。・NASAのDAVINCI+(ダ・ヴィンチ・プラス)は、2029年打ち上げ予定で、金星表面に向かって探査機を降下させる計画
・NASAの金星ミッションVERITAS(ヴェリタス)は、2031年打ち上げ予定で、周回軌道上から金星の火山の地図を作成する計画
・欧州宇宙機関(ESA)のEnVision(エンビジョン)は、2030年代初旬に打ち上げ予定で、周回軌道上から金星の内部構造を分析し、大気中の微量気体を測定する計画
類似の系外惑星
なぜ、どのようにして金星が生命の生存に適さなくなり、地球が生命の楽園になったのかを正確に知ることは、太陽系外惑星を研究対象とする惑星科学者らにとって極めて重要だ。結局のところ、遠く離れたところから観測すると地球に似ているように見える系外惑星が、実際には地球より金星に似ていることは大いにありうる。なので、もしEarth 2.0(第2の地球)が特定されることがあるとすれば、金星と地球が生命居住可能性の観点からこれほど大きく異なるようになった理由と仕組みを正確に把握しておく必要がある。
(forbes.com 原文)