日本各地の水で検出が相次ぐ 危険物質「PFAS」の現状と対策

日本の水は海外の水に比べて安全と言われることが多いが、最近の調査ではPFAS(有機フッ素化合物)という危険物質が検出されるケースが増加している。

9月19日の京都府の発表では、綾部市を流れる天野川から基準値の50倍を超えるPFASが検出された。綾部市はこの報告を受けて、井戸水の飲用を控えるよう呼びかけている。

この記事ではPFASが有害である理由や、PFASを体内に入れないために私たちができることを解説していく。

PFAS(有機フッ素化合物)とは



PFAS(有機フッ素化合物)とは、炭素とフッ素の結合を持つ有機化合物の総称である。代表的なものとしては、撥水材や消火剤、コーディング剤などに利用されているPFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)やPFOA(ペルフルオロオクタン酸)などがある。

PFASは非常に分解されにくいため、「永久に残る化学物質」とも呼ばれている。自然界に流出すると長きに渡って環境を汚染し、体に入ると5〜10年は体内に残ってしまうそうだ。

人体への影響は、腎臓がんのリスク増加の可能性、幼児・胎児の成長低下、そして免疫力の低下などが懸念されている。

日本各地でPFASが検出されている

PFASは日本国内のさまざまな地域で検出されている。

神奈川県相模原市では、国の暫定指針値の30倍に達する高濃度のPFASが検出された地域もあったようだ。

また、熊本県熊本市は水道水のすべてを地下水源でまかなっているが、2023年に調査を行ったところ、調査対象となった211カ所のうち30カ所の井戸でPFAS濃度が暫定目標値を超えていたそうだ。

一部の市民は井戸水を飲み水として利用しており、人体への影響が懸念される。

血液からも検出されている



8月に行われた兵庫県明石市の調査では、血液からPFASが検出された。調査対象の9人のうち6人は、ドイツ環境庁の専門委による指標値を超えていた。摂取経路は水道水だと考えられている。

京都大学で環境衛生学を専門としている小泉名誉教授は、今回の結果を受けて、「ただちに個々の健康の被害に結びつくものではないが、今後、市は本格調査をし健康状態も追跡してほしい」と話している。

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文=エシカルな暮らし編集部

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