日本の乳幼児は557万人いるため、子ども用だけで1日に約3000万枚ものおむつが廃棄されている計算になる。高齢化で大人用の消費量が急増し、社会問題となりつつある紙おむつの処理だが、実は貴重な資源として生まれ変わってもいる。
この記事では、使用済みおむつの意外なリサイクル事例を紹介する。
使用済み紙おむつから建築資材へ
実は使用済みの紙おむつは、住宅を建てるときの建築資材に生まれ変わる。
2023年5月にScientific Reportsで公開された論文によると、使用済みの紙おむつは住宅用建材のコンクリートやモルタルの砂の代わりになるとされている。
使用済みの紙おむつから汚れを取り除き、洗浄や乾燥、裁断などの工程を踏み、建築材に変化させるのだ。
日本で紙おむつのリサイクルを手掛けている会社
日本にも実際に紙おむつをリサイクルしている企業が複数ある。環境省の「使用済紙おむつリサイクルガイドライン説明会資料」によると、具体的には以下の企業が手掛けているようだ。
・トータルケアシステム
・ユニ・チャーム
・サムズ
・スーパーフェイズ
それぞれの取り組みを見ていこう。
トータルケアシステムの取り組み
トータルケアシステムは、使用済み紙おむつをパルプ、プラスチック、SAPに分解し、それらを建築材やプラスチックなどに再生させている。1日20トン、年間で5052トンを処理している。処分割合は、一般家庭からが5%、病院や福祉施設からが95%となっている。
紙おむつをリサイクルすると、焼却処理と比較して約40%のCO2削減効果が見込まれるようだ。
ユニ・チャームの取り組み
ユニ・チャームでも同様に紙おむつのリサイクルを行っている。ユニ・チャームでは使用済み紙おむつをパルプやSAP、プラ類に再資源化し、おむつ、レーヨン、猫砂、RPF、物流パレットなどにリサイクルしている。
この処理方法であれば、温室効果ガスは焼却処理と比べて87%削減できるようだ。