とある島で行われた「無添加せっけん」の実験。驚きの結果は?

「無添加のせっけん」だけを使うとどうなる?

福岡県の宗像市の離島で、入浴や洗濯などに「無添加のせっけん」だけを使ってもらう実験が実施された。

島の住民140人に3カ月間、化学物質などを含む合成洗剤の使用を止めて、無添加せっけんのみを利用してもらった。実験の目的は、化学物質などを含む合成洗剤を無添加せっけんに変えると、環境にどのような影響を及ぼすかを調べることだ。

今回は、その実験結果と生活排水による河川や海の汚染を防ぐ方法を解説していく。

無添加せっけんのみを使用した効果

実験の結果、島の下水処理場から海に放流される水に含まれる有機物が減り、水質がきれいになったそうだ。実験前と比べて微生物の種類と量が増え、食べカスや皮脂といった汚れの分解も活発になったことがわかっている。

さらに、被験者となった島の住民は環境意識が高まり、環境問題に「関心がある」と答えた人が実験前と比べて約20%も増えたという副次的な効果も見られた。実際に実験後も島民の約8割は継続して無添加せっけんを使用するようになったようだ。

140人が3カ月間使用しただけでこれだけの効果が生まれたのだから、期間を長くしたり、取り組む人数を増やしたりすれば、より大きな効果が期待できる。

水質汚染の要因は?

海や川の水質汚染は、工場の産業排水が主な要因となっているイメージがあるかもしれない。

しかし、近年は工場に対する規制強化により工場の産業排水は水質汚染の主な要因ではなくなり、生活排水が大きな影響を及ぼしている。

河川の水質は長期的にみて改善傾向にあるが、海域の水質は横ばいで推移しているようだ。海の水質も改善するために、生活排水による汚染の対策を進める必要がある。

自宅でできる水質汚染対策

生活排水による汚染を防ぐために私たちができることは、今回の事例のように無添加せっけんを使うこと以外にもたくさんある。

キッチンと洗濯でできることを見ていこう。

キッチンでできること


生ごみは、コンポスト化して土地に還元すれば、海や川を汚さずに肥料にできる。お米のとぎ汁は水に流さず、食器洗いに使ったり、庭や畑にまいたりするのが良いそうだ。

専用の排水処理システムがついていないディスポーザーは台所の生ごみをそのまま川や海に流すことになってしまうので、使わないようにしよう。
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文=エシカルな暮らし編集部

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