LANDはロサンゼルス・東京・ジャカルタに拠点を置き、音楽レーベルLAND MUSICのほか、イベントやファッション事業なども手掛けるグローバル企業だ。
両社は、「Wake Me Up」が大ヒットしたことで有名なアメリカのグラミー賞ノミネートしたシンガー、アロー・ブラックや、SNS総フォロワー数が420万人を超える日本のインフルエンサーMINAMIなど複数のアーティストと組み、楽曲のプロデュースからマーケティング戦略の立案、デジタル配信サービスやメディア展開までを行う。
このビッグプロジェクトはいかにして生まれたのか。ワーナーミュージック・ジャパン代表取締役COOの島田和大とLAND MUSIC代表取締役でプロデューサーの和田直希に話を聞いた。
——パートナーシップの締結について、元々は和田さんからお声がけされたとのことですが、どのような経緯があったのでしょうか。
和田:元々LANDでは、グローバルヒットを出したいと思い準備を進めていたのですが、日本の音楽業界では海外進出の成功例がほとんどないことが課題になっていました。
その理由は大きく2つあります。ひとつは言語の壁や文化の違いといったアーティスト自身の問題。もう1つは、グローバル戦略を立て、それを実行できる良いチームが少ないことです。
そこで、日本人アーティストを海外に進出させるのではなく、まずは日本で海外のアーティストを売り出そうと考えました。それがアメリカのシンガー、アロー・ブラックです。彼は2013年にリリースした「Wake Me Up」という楽曲がヒットし、Spotifyでは20億回再生という歴史に残る数値を叩き出した、誰もが認めるアーティストです。
僕はコロナ禍でずっとアメリカに滞在していたのですが、その時にアロー・ブラックとつながることができました。そして彼に我々のつくった楽曲を聞いてもらったところ、「いい曲だから出したい」という好反応をいただき、話がまとまりました。
ただし、このプロジェクトを成功させるには、制作の実績だけではなく、国際的ネットワークがありディストリビューションやマーケティングに長けた良いチームが必要です。それで島田さんにお声がけをしました。
島田:我々ワーナーミュージック・ジャパンの最大の任務は、良いアーティストを発掘し世に出すことです。発掘は主に自社のA&R(Artists and Repertoire)の担当者が行っていますが、LANDのように様々なタレントとアクセスを持つクリエイティブハウスと組むというパターンもあります。今回は、和田さんからご提案を受けた形です。
和田さんはクリエイティブの重要性を十分理解していらっしゃるし、グローバルマインドも持っていらっしゃるので、アウトバウンド的に「日本から世界へ」という道が実現できるのではないかと思い、一緒に取り組むことにしました。