ライフスタイル

2023.11.08 10:00

衣服とアートを巡る旅〜パリA-POC ABLE ISSEY MIYAKE

現代アーティスト宮島達男氏とのプロジェクトTYPE-Ⅱ Tatsuo Miyajima projectにおいては、アート作品を衣服として完成させる際の職人の姿もフィーチャーされている。宮島達男氏の作品はLEDやデジタル作品のイメージが強いので、普段着使いできるA-POC ABLEとどのようなコラボを行うのか? 異色のタッグマッチを見るようなドキドキがあったのだが、宮島達男氏らしさを衣服に変換する際には、京都の手捺染(てなっせん)という技術が一役かっていた。宮島達男氏の作品作りのコンセプト「それは変化し続ける」「それはあらゆるものと関係を結ぶ」「それは永遠に続く」を噛み締めてこの展示を見ると、伝統と革新、無から有、ノンバーバルで人々を繋げるアートと衣服の存在感を感じる。

(c)ISSEY MIYAKE INC. / Photography: Olivier Baco

(c)ISSEY MIYAKE INC. / Photography: Olivier Baco

(c)ISSEY MIYAKE INC. / Photography: Olivier Baco

(c)ISSEY MIYAKE INC. / Photography: Olivier Baco

2011〜2019年までISSEY MIYAKEのデザイナーとして活躍していた宮前義之氏は現在A-POC ABLEをエンジニアチームと呼び様々なコラボレーションやプロジェクトを起こしている。近年におけるイッセイ ミヤケを巡る私の旅は全て宮前義之氏との出会いから始まっている。最後に、彼にこれからの旅の予定を聞いた。「A-POCのものづくりは、一本の糸、一枚の布から出発します。ものづくりのプロセスを見つめ直すことで、新たな時代の衣服のあり方を探求しています。そして、テクノロジーやアート、医療、宇宙工学など、あらゆる領域を越えて行くことで、未知なる出会いや発見が私たちを待っています。未知なるものづくりは冒険にも似ています。だからものづくりは楽しいのです。これからもそのワクワクを皆さんにお届けしていきたいとおもいます。」



マルセル・プルーストは「発見の旅とは、新しい景色を探すことではない。新しい目で見ることなのだ」と述べたが、まさにA-POC ABLEが生み出すものはアートと衣服の境を溶かし、同時に、語ることが多い衣服なので大事に使い続けたいという心も芽生えさせる。アップサイクル、リサイクルという誰かが作ったサイクルに乗るのではなく、自分が楽しいと思う服を着ることが究極のサステナブルなのではないかな、という視点を与えてくれる。So the Journey Continues、私個人の衣服を巡る旅をこれからも「A-POC ABLE ISSEY MIYAKE」を水先案内人として楽しんでいきたい。

連載:ポリネーターが見る世界の景色
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文=西村真里子

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