AI

2023.08.28

朴正義/深津貴之 AIデザインラボ「SaySay」が描くAI体験デザイン

林正義氏、深津貴之氏

智者は時に後れず、勇者は決を留めず – 皇甫嵩

新しいテクノロジーが流行るたびに、多くの人々は目に見えるアウトプットに注目する傾向がある。しかし、真の実力を持つ一流のクリエイターたちは、そのような表面的なものにとらわれない独自の視点を持っている。彼らは、一般的な流行に対するカウンターの視点を提供し、真の価値を追求する。
 
AI界の中心人物の一人、THE GUILDの深津貴之氏がバスキュールの朴正義氏と新しく立ち上げたAIデザインラボ「SaySay」

“セイセイ”というネーミングもドメイン(saysay.ai)も秀逸だが、彼らのサイトを通じて、現在のAIブームへの懸念点も示唆されている。
 
昨今のAIブームでは、「どう凄いモデルを作るか」にフォーカスしすぎています。でも、本当に大事なのは「どうAIを使うか?」なのではないかと思います。このチームでは、「AIで生まれる新しいビジネスってナニ?」「最適のインターフェースってナニ?」「AIモデルはできたけど、どう使えばいいの?」そんな問いに答える実験をいっぱいできればと思います。(saysay.ai)
 
なぜ今、クリエイティブ業界のリーダーたちが手を組んで新しい会社を設立したのか?その背景と狙いを探るため、二人のクリエイターに独占インタビューを実施した。
 
朴正義(以下、朴):「バスキュールは2000年からインタラクティブ体験デザインを追求してきました。生成AIもその延長上にあるものと位置づけて取り組んでいます。

「インタラクティブデザイン」と聞くと、クリックやタップなど明示的なアクションに対する出力側のデザインだけをイメージしがちですが、入出力双方にAIを導入することで、新しい体験デザインを提供できるんじゃないかと考えております。その入出力をデザインするプロセスが必要です。バスキュールが目指すのは、n:nの体験。つまり、100人が参加すれば100通りの異なる反応を生む体験の創出です。

近年、各種センサー技術の向上から、身体データから都市の動きに至るまで、データの取得精度が向上しています。現在、多くの注目が生成AIによる出力に集まっていますが、私たちはこのデータ取得時にも、生成AIを活用したデザインを施すことで、1:nのインタラクティブ体験を、n:nの同時インタラクティブ体験。つまり、100人が同時参加して、100通りの異なる反応をリアルタイムに生成する体験の創造にトライしてみたいと考えています」。
 
深津貴之(以下、深津):「AIがブームとなり、生成モデルやChatGPTのプロンプトに関する話題で盛り上がりを見せています。しかし、これはインターネットやスマホ黎明期に「ネットすごい!スマホすごい!」と興奮しているような段階。多くのベンチャーは先進的な生成AIモデルの開発に焦点を当てていますが、私の関心は「テクノロジーが生活をどのように変えるのか?」や「どのような新しいサービスが生まれるのか?」という点です。現在のAIモデルのブームを超えて、その先の未来を考え行動したいと考えています。

この先を目指すために、かつてのFlashクリエイターで現在でもクリエイティブ領域で活躍している方と、手を組むのが最適だと思いました。Flashクリエイターは未見のものや未体験のものを生み出すスペシャリストです。まさにバスキュール朴さんは最適なパートナー。ここで作るものは、シリコンバレーとは違った独自の文化を生み出すと信じています。」
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文=西村真里子

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