世界を目指すブランド「HARUNOBUMURATA」、4年目の現在地

HARUNOBUMURATA Runway Rakuten Fashion Week TOKYO 2023 A/W

日本の企業が世界に出るとき足りないものは何か? そのひとつがコミュニケーション、つまり伝える内容や伝え方だとしたら、どうすれば乗り越えていけるのか?


未開拓の日本の可能性を世界と繋ぐことをミッションとするKitchen & Companyの代表・中道大輔がナビゲートするPodcast「VISION TO THE FUTURE」とForbes JAPANがコラボレート。国内外で活躍する“視点”のあるゲストとともに、考え、発信していく。

Vol. 62配信のゲストは、前回に引き続きデザイナーの村田晴信。イタリアでの経験を経て日本でブランドを始動。その過程で、日本の価値を再認識すると同時に、日本ならではの課題にも直面。マインドが変わることで、日本はもっと新しいものが生まれる環境になるのでは、と村田は考えている。

中道:前回に引き続き、デザイナーの村田晴信さんをお迎えしています。

コレクションの世界に憧れてデザイナーを目指した村田さんは、卒業後にイタリアに渡り、マランゴーニ学院マスターコースを修了。デザイナーとしてJOHN RICHMOND社、JIL SANDER社で経験を積みます。2018年に独立して、ミラノと東京をベースにしたラグジュアリーファッションレーベルHARUNOBUMURATAを立ち上げて現在4シーズン目です。

さて、HARUNOBUMURATAとはどういうブランドでしょうか。「ラグジュアリー」というキーワードが出ていますが、何かイメージがあるのでしょうか。

村田:HARUNOBUMURATAの「ラグジュアリー」は、ルイ・ヴィトンやシャネルみたいなラグジュアリーとは少し違っていて、精神的な満足度とか心の豊かさという意味で使っています。

物質が溢れる世の中で、どういったものに心の豊かさを感じることができるのか。人やものとのつながり、そこにある背景が人生を豊かにするのではないか。それを「ラグジュアリー」という言葉で言い換えることができるのではないかと思ったんです。HARUNOBUMURATAの服を身に着けた時に、その人の心が豊かになればいいなと思ってブランドコンセプトにしています。

中道:そういうラグジュアリーのアウトプットは、日本では作りづらいですよね。

村田:イタリアで働いていた時、JIL SANDERもそうですけど、一時期半分ぐらいが日本の素材を使っていました。そこで働いていたから知ることができましたが、日本のデザイナーはそういう日本の価値を正しい形に変換して世界に発信しきれていないと思うんです。海外に長く住んでいた身としては、それはすごくもったいないことだなと。僭越ながら、日本の価値を正しく発信することが、デザイナーとしての自分のミッションではないかと思って日本に帰ってきたところもあります。
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文=久野照美 編集=鈴木奈央

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