事業継承

2023.10.27 11:15

まちづくりのノウハウも「先輩から後輩」へ 官民フラットな部活的組織

よって、我々事業者の仕事は、行政は従来の監督者的な立場ではなく「市民をバックアップする」という意識、地元メンバーは請け負い仕事ではなく「自分ごと」という意識で本プロジェクトに向き合えるような企画とプロデュースをしていくことだと考えている。
 
9月には参加希望者向けの説明会を2回開催しが、全メンバーがその意識を持ちながら、様々なトライアンドエラーを繰り返し、学びを共有しながら全体が底上げされる経験を出来たことは非常に良かったと思っている。
 
現時点ではまだどのような形で民間に引き継がれていくのか、解像度はまだ低いが、フラットな関係の中で、対話を繰り返しながら、模索を続けることに価値があるはずだ。

行政からの業務委託を「社会的投資」として捉える



本来、行政による税金を原資とした費用負担の意味合いは「社会的投資」である。そういう意味では、行政との契約が長くても3年で終わるのであれば、ノウハウを地元に移転したほうがその投資に対してのレバレッジが効くと言えよう。
 
また、契約期間の事業を通じて出した成果やインパクトを計測し、第三者からの評価等をもって次のアクションに繋げていく事が重要である。昨今、行政も「行政評価(政策評価・施策評価)」の実施とその公開により効果測定と説明責任を果たすための努力を重ねているが、依然として「評価のための評価」となっており「アクションのための評価」には至ってない事は否めないだろう。
 
別の観点から眺めると、人材育成、コミュニティ形成などは「行政」が主体で行って当然という、固定観念からの脱却が中長期的な課題になってくるであろう。やはり持続可能な事業にしていくためには、行政依存や一社依存ではなく、ステークホルダーによる持ち出し型の方が初動の難易度が上がるにしても理想型といえる。
 
いずれにしても、この敦賀のプロジェクトのインパクトは、「新幹線開業後も、多様なセクターのまちづくりを担う人材が毎年増え続け、プロジェクトを生み出し続け、持続的に発展や他都市との交流を生み出すこと」と設定し、継続的にこの場でも進捗をレポートしていきたい。

文=加生健太朗

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