事業継承

2023.10.27 11:15

まちづくりのノウハウも「先輩から後輩」へ 官民フラットな部活的組織

「虎の巻」とゆるやかな成長ステップ 

これまで「つなげる30人」の運営ノウハウは、恥ずかしながら極めて個人に依存しており、そう簡単に移転が出来る状態ではなかったし、また、積極的に誰かに教えるという事はやってこなかった。
 
しかしこの状況は、今回の敦賀の案件に限らず大きな問題意識を持っており、「匠から仕組みへ」という発想のもと、まずは「つなげる30人虎の巻」の作成に着手し、完成をさせた(これが本当に長くて孤独な作業だったが、結果、作り上げることができて本当に良かったと思っている)。 
 
次にこの「虎の巻」をベースに、ただ「読んでおいてね」とせず、いかに「分かるからできる」をサポートできるかが重要なのだが、その際に意識したのは目標設定における「ストレッチゾーン」という考え方であった。
 
要は「今の状態から少し背伸びしてやっと達成できる水準」を常に設定し続けることが鍵なのだ。
 
またこれまでの案件の実績を元に、上記の役割ごとに「各年度の達成すべき状態」の設定を試みたところ、完全に民間に引き継いで行くには最低でも3年の期間はかかるだろうと感じている。おおまかに言うと、1年目は「徹底的に見て学ぶ」、2年目に「実践しつつ、後輩に教える」3年目に「後輩を見守る」、そして4年目からようやく「自走する」という具合だ。

当然、「計画はあくまでも計画」のため全てが上手く行く保証は無いが、関係各所と協議しながら丁寧に進めていきたい。

フラットな立場での協働

本プロジェクトの運営は、大きく3つに整理できる。
 
1) 委託元:敦賀市 観光部 新幹線誘客課
2) 委託事業者:株式会社ニューピース
3) 地元メンバー

※私及び地元メンバーは、委託事業者(ニューピース)からの再委託先という位置づけとなる。
 
本来の契約的な発想で行けば、1→2→3への指示関係をベースにプロジェクトを進めていくことが効率的であろう。しかし、繰り返しとなるが、本プロジェクトの最大の目的の一つが3へのノウハウと運営体制移転である事を考えると、極力1〜3がフラットな関係で、目線を合わせながら、互いを尊重し信頼関係を持ったパートナーしてプロジェクトを進めていくことが何よりも重要となる。
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文=加生健太朗

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