もちろん従来どおり業務委託を希望する場合は、柔軟に対応できる余白は残しているが、これまでの反省から「計画期間内の民間へのノウハウ及び運営体制の移転」を前提に進めていくことが重要だと感じていた。
敦賀の挑戦が始まった理由
そんななか、福井県敦賀市から、ノウハウと体制移転を前提にしたプロジェクトを実施したいという相談があった。敦賀市では2024年3月に北陸新幹線が延伸し、その終着駅になることから県・市を中心とした誘客のための施策準備が進められていたが、その盛り上がりを一過性にするのではなく、未来を担う地元のまちづくりコミュニティの創造や、街の活性化プロジェクトを育んでいく事の重要性を感じていた。
そこでPRを得意とする株式会社ニューピースを筆頭にチームを組成し2020年度にパイロット版となるプレイベントを開催し、市内外のステークホルダーの理解を経て、21年度にNPO法人グリーンズと連携。「敦賀を拡げるプロジェクト」として「敦賀をつなげる30人」の第1期が開催された。
そこでは4つのプロジェクトが生まれ、翌2022年度はそのプロジェクトの実行サポートに注力し、一定の成果が出たことで、この10月から「敦賀をつなげる30人」第2期が本格的に始動する事となった。
今回「つなげる30人」を引き継ぐ事を前提にして取り組むのは初の試みだが、多くのステークホルダーとの対話や、様々な全国の事例や自身の体験を踏まえ、計画立案に着手していった。
計画を練る際のポイント
1期生の積極的登用と、適材適所の配置
「引き継ぎ」のためにはその母体となるコミュニティやチームが必要となる。敦賀の場合、一番の財産は、2021年度の1期生が存在し、その中でもリーダーシップを発揮していたメンバーがプログラム終了後も積極的にまちづくりに参加をしていた事であった。彼らのなかに運営に関心が高いメンバーがいるのではないか、いるのであれば今年度積極的に登用し、プロジェクトを組めないかと考えた。当初は「本業がある傍ら、コミットメントしてくれるのだろうか」などの不安もあったが、市役所の本事業を担当する観光部新幹線誘客課の上野恭輔係長、中村大哉係長が中心となり、候補者に丁寧にプロジェクトの意義を伝え、希望する役割や伸ばしたいスキル、してみたい体験などのヒアリングを試みた。
その結果、それぞれの想いやモチベーションに応じて、「プロジェクト伴走支援」に西島由佳里さん、高畑絢史さんが、「市内外とのつながりを担うコネクト支援」に後藤美佳さんが、そして進行支援をする「サブファシリテーター」などの役割に東陽介さん、熊谷航さんが担う事となった。
翌年には今回の2期生がそれぞれのメンバーのアシスタントになるように設計し、部活やサークルのようにノウハウと体制が途切れず継続していく仕組みとした。