その結果、波長8.6ミクロンに予想外の「こぶ」が現れた。この特徴は、雲がケイ酸マグネシウムや、その他の考えられる高温エアロゾル(酸化アルミニウムなど)でできているとして予想されるものではなく、石英でできているとすれば完全に理解できる。
この石英は、地球のジオード(晶洞)内や宝石店で見られる先端のとがった六角柱に形が似ているかもしれないが、1つ1つの直径はわずか約10ナノメートル(100万分の1cm)だ。
地球上の雲に含まれる鉱物粒子とは異なり、WASP-17 bの雲の中で検出された石英結晶は、岩石質の表面から吹き上げられたものではない。大気自体に由来するものだ。
「WASP-17 bは、約1500度と極めて高温で、大気上層部で石英結晶が形成される領域の圧力は、地球表面の圧力の約1000分の1しかない」と、グラントは説明する。「このような条件では、最初に液相を経ることなく、気体から直接、固体結晶が形成される可能性がある」
平均表面温度がより低い地球では、同じ物理過程に基づき、水蒸気が直接、氷晶(氷の結晶)に変化し、雪片や霜を形成する可能性がある。
論文の共同執筆者で、同じくブリストル大のハンナ・ウェイクフォードは「この美しいシリカ結晶は、さまざまな物質の何がどれだけの量存在して、それらすべてがどのように集まってこの惑星の環境を形作っているかを、私たちに教えてくれる」と説明した。