ポジティブ変換。AIのつくる「粋」
ヘイト投稿を観光施策に逆転させた「Go Back To Africa」。北米に暮らす黒人に対して、ルーツである「アフリカに帰れ!」という悪意あるフレーズを含んだ投稿がされると、AIが自動で検知し、その投稿をジャック。「Go Back To Africa」だけを残し、ほかの悪意に満ちているテキスト部分は黒く塗りつぶし、そのうえで、アフリカに旅行に出かけたくなるような美しい写真とともに投稿し直されるというもの。ネガティブな要素をポジティブに変換する「粋」な発想だ。
利益はおこぼれ。3Dプリンターの「粋」
家庭用3Dプリンターは1万円台から購入でき、住宅も3Dプリントする時代。「Fixperts」は、日常生活において個人的な問題を抱えたFIXPERTNERに対して、デザインによる解決を図るプロジェクト。近年3Dプリンターを活用し、ものづくりをするチームも増えている。それは3Dプリンターはどんな複雑な造形でも1点からつくることができ、修正も検証もすぐにできるため、ひとり個人のために本当に必要なものを考え尽くし、繊細な検証を重ねることができる。稼ぐためにつくられたものではなく、目の前の人に喜んでもらえることを追求したものづくり。利益はその任務に懸命に努力した結果に対する「おこぼれ」に過ぎないという古来の考えが生きている。
電通Bチーム◎2014年に秘密裏に始まった知る人ぞ知るクリエーティブチーム。社内外の特任リサーチャー50人が自分のB面を活用し、1人1ジャンルを常にリサーチ。社会を変える各種プロジェクトのみを支援している。平均年齢36歳。合言葉は「好奇心ファースト」。
鈴木舞◎電通Bチームに入りたかった人。“粋”をさまざまな視点から探求し、“粋”の宿る伝統工藝「組子」を通じて「真の豊かさとは何か」を問う。電通を独立後プロダクトデザインを軸に戦略企画から携わる。