暮らし

2023.10.12 18:00

調理師免許を持つ俳優、高橋文哉が料理に見る「無限の可能性」

料理がテーマのドラマに出演するにあたって、高橋は現場を離れても「いつも以上に長い時間、包丁を握っている」と話す。そして、キッチンでの彼の姿勢は、SDGsのアクションそのものでもある。

「いま、改めて料理の練習をする機会が多いんです。練習では野菜を縦に切ったり、横に切ったり、いろんな剥き方をしたり。そうするなかで、『この歪な形にカットした野菜たち、どうやって食べよう?』と、自分で考えたり調べたりするのが楽しいんです。塩をかけて揉んで、漬けものにして翌日、食べたりとか。野菜の皮なんかも、十分、美味しく食べられるものなので。無限の可能性を持ってるのが料理の魅力でもあると思っています」

日ごろ、取り組んでいるSDGsのアクションも、必然的にキッチン周りでのことが多くなる。

「キッチンペーパーってあるじゃないですか。普段から使っては捨てとすることにすごく抵抗を感じていて、僕は一枚布をキッチンペーパーの代わりに使っています。使って汚れても、洗って乾かしてまた使うルーティンです。電化製品の使い方にも気を配っています。僕はお仕事で家を空けることも多いので、電子レンジとかケトルとかオーブンとか、本当に使うときにだけ、コンセントを差して使うようにしています」

ドラマ『フェルマーの料理』の岳は、数学者への道を挫折して料理人になるが、岳を演じる彼自身は「挫折したことがない」と、力を込める。

「というのも、どこからが挫折かもわからないと思っていて。本人にしかわからなかったり。側から見たら『挫折してるね』と思われたとしても、本人は折れてるつもりなんてまったくなかったりすると思うので。その意味で僕は、挫折だと思って自分の失敗を受け止めたことがないんです。

もちろん、たくさん失敗もしましたし、後悔したこともたくさんあります。でも『悔しいな』と思ったとしても、それを挫折と思わずに、『この失敗をまた次しないために』『こんなに悔しい思いをこれからしないために』と考えて、生きてきました。もともとの性格が、負けず嫌いなのかもしれないですね」

こう言って彼は、この日いちばんの笑みを浮かべて見せた。私たち一人ひとりが、彼のような胆力を持って臨むことが、持続可能な社会を実現するための鍵なのかもしれない。


高橋文哉◎俳優。2001年3月12日生まれ。埼玉県出身。2019年、令和初の仮面ライダー『仮面ライダーゼロワン』(EX)の主演で俳優デビュー。その後、『最愛』(21/TBS)など数々のドラマに出演し、2023年7月に公開した『交換ウソ日記』で、恋愛映画初主演。ドラマ初主演作『フェルマーの料理』(TBS)が10月20日よりスタート。2024年1月26日公開『劇場版 君と世界が終わる日に FINAL』を控えている。

文=仲本剛 写真=秋倉康介 撮影場所=ITOCHU SDGs STUDIO

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