しかし、サイバートラックの製造が、大量のエネルギーやアルミニウムなどの材料を必要とすることは、環境保護の理念に反するように見える。また、EVは車両のマフラーからのCO2排出をなくす一方でバッテリーに使用されるリチウムの採掘が化学物質による地下水汚染を引き起こし、コンゴのコバルト鉱山での児童労働など、倫理面での問題にも直面している。
一般消費者の関心は最下位
数十年にわたりピックアップ市場を支配してきたフォードは、テスラに先駆けてバッテリー駆動のF-150ライトニングを投入し、今のところ、この市場のリーダーと言える。GMも電動のシボレー・シルバラードを発売しようとしており、ステランティスは来年後半、1回の充電で最大約800キロの航続距離を約束するRAM 1500 REVの販売を開始する予定だ。また、従来とは異なる電動ピックアップを求める顧客は、新興企業リビアンがキャンプやビーチトリップ用に宣伝しているR1Tを手に入れることができる。
GMの初代ハマーは、物議を醸すルックスが一部のバイヤーにアピールすることをずいぶん前に証明した。それでも「サイバートラックの売れ行きは、それがどれだけ優れたピックアップであるかによって決まるだろう」と、コンサルティング会社ザ・カーラボのエリック・ノーブル社長はいう。
ウェドブッシュ証券のダン・アイブスのようなテスラに強気のアナリストは、2024年に少なくとも15万台のサイバートラックが販売されると考えている。一方でノーブルは、ニッチなピックアップにそれほどの需要があるとは考えていない。エクスペリアンのデータによると、リヴィアンR1Tの今年7月までの月間販売台数は2000台以下だった。
テスラのファン層は興奮しているかもしれないが、サイバートラックに対する一般消費者の見方は冷めている。コックス・オートモーティブの電動ピックアップの潜在的購入者を対象とした調査で、サイバートラックへの消費者の興味は最下位だった。この調査では、フォードのF-150ライトニングがトップで、ダッジのラムEV、シボレーの電動シルバラード、リビアンのピックアップが続いた。