2.5万ドルの安価なサイバートラック型テスラは幻の存在となるかも

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テスラは、他の自動車メーカーと同様、今でも高価な電気自動車に依存している。

イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は、2006年の最初のマスタープランで、安価で手頃な価格の自動車について語り始め、2万5000ドル(約368万円)の自動車について繰り返し具体的に言及してきた。しかし、最新の2023年マスタープランでは、都合よくその言及が省かれている。

イーロン・マスクに関する新しい書籍によれば、幹部たちはロボットタクシーといっしょにサイバートラックのような2万5000ドル(約368万円)の車両を作るようマスクを説得したという。私はロボットタクシーは登場すると信じているが、安価なテスラがすぐに登場するかは疑問だ。19世紀の米国の興行師、P・T・バーナムの言葉を借りるなら「カモになる人はいなくならない」といったところか。

テスラはサイバートラック(これは実在するが、決して安くはないだろう)と新型モデル3の生産増強に集中する余り、手頃な価格の自動車を考えている余裕はない。

値ごろ感が薄れている新型モデル3

X(旧ツイッター)上で見られるテスラ信者は、4万ドル(約589万円)のモデル3を安いと思っているが、米国人の残りの95%はそう思っていない。

(私を含め)多くの人が、テスラがコスト削減の結果、新型モデル3「ハイランド」の価格を下げると予想していた。しかし、価格は実際に上昇している(ウォール街はこれが大好きだが)。

しかし待て。2万5000ドル(約368万円)のテスラが登場すると、テスラ信者たちはX上で語っている。彼らはしばしばオースティンのギガファクトリーに言及する。そこでは、テスラがより優れた自動車をより効率的に製造するための新しい工程、設備、工具を開発しているからだ。

それはそのとおりだ。ただ、これがすぐに2万5000ドル(約368万円)の車両に適用されるとは思わないことだ。

Edmundsのニュース編集者ウィル・カウフマンが今週私に語ったように、もちろんテスラはコスト削減のあくなき追求を強化している。しかし、それが必ずしも安い車につながるとは限らない。結局のところ、目的は金を稼ぐことだ。

価格を下げるために、テスラは現在、米国の連邦税額控除と州からのリベート(別名、政府ディスカウント)に頼っている。問題は、政府のインセンティブは恒久的ではなく、州ごとに異なり、季節のように移り変わるということだ。

一方、シボレーボルトのような、正真正銘安価なEVもある。この人気ハッチバックは3万ドル(約441万円)以下から購入可能で、モデル3と同じ税額控除やリベートの対象となる。

これだけ待たされても2万5000ドルのテスラをまだ信じ続けるだろうか? まあそれも良いだろう。一方、現実の世界では、世界中の購入希望者は自動車ローンを組み、4万ドル(約589万円)のモデル3か、やがて来る(より高価な)モデルYの新型モデルに群がるだろう。

編集注:カリフォルニア州では、税額控除と州からのリベートを合わせて1万5000ドル(約221万円)になる可能性がある。

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

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