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2023.09.12 08:00

EVの普及は石油需要抑制の「特効薬」になっていない、今後も必要

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政策立案者たちは電気自動車(EV)が従来の内燃機関(ICE)の車に取って代わり、石油需要をなくすことを当てにしている。だが、エネルギー転換がどのように進んでいるのかを学ぶ必要がある。

EV普及率が高い国のデータをみると、石油消費量は劇的に減少していないというのが実情だ。

2021年に販売された乗用車の80%がEVだったノルウェーが、その最たる証拠だ。このペースでいけば、ノルウェーで販売される車は2025年までにほぼすべてEVとなりそうだ。

だが同国でのガソリンとディーゼルの消費率はほとんど変わっていない。

ノルウェー統計局(SSB)の数字によると、2017年以降、ディーゼルとガソリンの需要はほんの少ししか減少していない。今年上半期の車両向け燃料の販売量は1日あたり6万2000バレル前後で推移。EVブームが始まってからだいぶ経つ2017〜2019年の日量7万バレルから約10%の減少だ。

現在の消費は1日あたり6万〜7万バレルで比較的安定しており、短期的には劇的に減りそうにはない。実際、精製業者がガソリンやディーゼル製品を製造するのに必要な原油の需要は依然として日量約20万バレルにとどまっている。

ノルウェーでEVが普及しながらも石油需要が底堅いことについては、さまざまな理由がある。急速なエネルギー転換に注力している世界中の政策立案者たちはこれらの理由を直視すべきだ。というのも、多くの気候変動活動家が認めようとするよりもずっと長い間、世界経済において石油が今後必要とされることを示唆しているからだ。

ノルウェーで石油需要が堅調に推移している大きな理由は、自動車販売台数におけるEVの割合が高いにもかかわらず、300万台近い総自動車数のうちEV台数は50万台弱とほんの一部を占めるにすぎないことだ。つまり、まだ多くのガソリン車やディーゼル車が走っている。

また、ノルウェーの人々はEVを購入してもICE車を手放したがらないというデータもある。ガソリン車を手放す前にEV充電インフラが普及するのを待っている人もいるだろうし、従来の小型トラックの性能を好む人もいるだろう。

実際、従来のICE車は、政府がかなりの予算をつけて廃車制度を導入しない限り、最後の1台が販売された後もしばらく道路を走り続けるだろう。また、欧州や米国などの豊かな国でICE車が走らなくなった後も、中古車の需要が高い発展途上国に輸出され続けるというデータもある。これでは、燃料需要と炭素排出がある国から別の国へと単にシフトするだけだ。
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翻訳=溝口慈子

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